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好きな人が物書きなもので、つい。

原嘉孝のめくるめく輝きー『timelesz project』感想

 

こんなはずではなかった。

 

 

本来ならオーディション番組を見ようと思うこともなかった。部活動にも就活にもあまりいい思い出がない人間なので、絶対候補者側に感情移入して辛くなりそうだというのがひとつ。ついでに候補者について視聴者が批評するような雰囲気が好きではなかったのもひとつ。

 

それでも長くこの事務所のグループを応援してきた人間として、そしてアイドルという表象について真剣に考えてきた身として、timeleszの3人の一世一代の挑戦を応援したいという気持ちが、私にtimelesz projectへの扉を開かせた。

 

NETFLIXを契約したとき、私は確かに思っていたのである。とにもかくにも候補生に感情移入しすぎると絶対しんどくなるから入れ込みすぎるのはやめよう、と。客観性を保ちつつ、あくまでこの一大プロジェクトを企画として楽しみ、ついでにほぼ確実にタイプロを見るであろう自担*1の感想を美味しく味わおう、と。

 

それなのに2月の私と来たらどうだ。

2月15日の11時半に幼児もびっくりの大泣きを決めたのち、そのままの勢いでFCに入会し公式写真を買い、宇宙Six目当てに嵐のライブ映像を見返し、映画館のスクリーンで原くんを拝みたいがために約1週間でドラマを履修しトリリオンゲームを観に行きTake Me Outのチケットを取ってとち狂ったようにRock this Partyを聴いている。完全にダメである。

 

 

違う、違うんです、一回落ち着こう(私が)。

何が起きたのか整理して冷静になろう。

そう思って2月にこの記事を書き始めたのに一向に書きあがらないどころかどんどん増えて最終的に10,000字超えました。なんで?

 

 

『Purple Rain』でずぶぬれになる

タイプロを見始めて数ヶ月。二次審査はあまりに就活の面接みたいな空気感に正直しんどさを覚えたが、三次審査はグループ審査かつパフォーマンスづくりという内容になってきたのでオーディション番組の視点でやや楽しみながら見ることができていた。友人とこの人がいい役割を果たしていたよねと真剣に話したりもした。

ところが四次審査ですべてが変わってしまった。

 

篠塚くんたちに「やべえ人来た」と思わせた、原嘉孝の堂々たる登場である。

陸上トラックで(スニーカーが壊れるほどの)『Anthem』を披露し、ランニングの後、同じチームのメンバーに名前を聞いて握手をしていく原くん。

 

 

 

 

 

 

かっっっっっっっっこよ。

 

 

 

 

私はこのとき完全に自分がPurple Rainチームの人間みたいな目線で見ちゃってましたけど、一般候補生からしたら事務所のタレントが候補生として参加してくるなんて、「どんな感じで来るんだろう」ってかなりビビってたと思うんですよね。そこで一人ずつ目を見て声かけてくれると、すごく対等なライバルとして見てくれてるんだなというのが伝わるじゃないですか。そういう空気をほぐすためのあの立ち回りと「顔だけなら俺に勝ってるよ」の冗談だったのだと思っていて、相当優しい人なんだろうなと思った

 

いざ練習に入ると、西山くんをリーダーとして尊重して、西山くんにまず話をするようにしながら、惜しみなく他のメンバーにも技術指導して、「明日はない、この練習から」と言って練習の空気感を変えていく原嘉孝先輩。

プレイヤー型リーダーシップすぎる……(天を仰ぐ)

こんなんしばらくしたら『原嘉孝に学ぶリーダーシップの条件』みたいな自己啓発本出ててもおかしくない。

 

そうです白状します、はっきり言って私は運動部のキャプテン、サークルの先輩、OJTのトレーナーが好きになる女です。スラムダンク桜木花道よりゴリと木暮先輩に感情移入して泣いてます。

 

タイプロではよく原くんに対して「熱さ」「想いの強さ」「エネルギー」みたいな言葉が使われることが多いけれど、じゃあ原くんって終始スイッチの入った松岡修造みたいな感じなのかというと全くそんなことはなくて、練習の時もインタビューのときも、すごく落ち着いたトーンで話すし、ぽろぽろ涙を流すんですよね。だから、根っから明るいタイプというわけではなくて、想いの強さと優しさゆえに強く頼れる兄貴分を演じている人なのではないかと思った。こんなの好きにならない方が無理では??

正直この登場から中間発表までのところで仮装大賞の20点中15点くらいのところまで好きゲージが上がっていたと言っても過言ではない。

(ピロリロッピロリロッピロリロッピロッリッ♪)

 

 

そして肝心のパフォーマンスはどうかというと、

 

 

レベチだった。

 

 

 

すごくいいギャップなんですけど、原くんのキャラクターってともするとガツガツ力強い踊りをしそうな雰囲気なのに、原くんのダンスにはまったく粗雑さというものがない。とにかく丁寧。

寺西くんの”遅取り”に対して何と言ったらいいのかわからないのだけれど、原くんって、カウントの終わりにゆっくり合わせにいく踊り方だと思うのですよ。頭はオンで入ってるんだけど、振りの”途中”が他の人よりちょっと速くて、次の動作に行く前にスピードを落としてカウントに合わせているというか。車の運転で言うと、寺西くんはアクセルをすごく丁寧に踏むので緩やかに発進するのが特徴のドライバー、原くんはブレーキを丁寧に踏むので衝撃ゼロで停止するドライバーって感じ。だから原くんのダンスは一つ一つの振りがわかりやすく見えるし、丁寧で雑さがない故に大変そうに見えない。それが五次審査で光一くんが言っていた「究極は抜くこと」に近い美しさをもたらしている。

 

 

 

『Anthem』はすごくその特徴が顕著

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このときの課題曲の『Purple Rain』も、まさに原くんのスキルの粋を集めたようなパフォーマンスになっていた。

 

イントロだけでコース料理の前菜8種類くらい出てきてお腹いっぱいみたいな満足感。まず振り返って歩きながらのジャケットさばきで完全に会場の空気が変わったし、イントロの難しいアイソレーションが上手すぎる他の人より関節4か所くらい多かったりする???それも特殊な制御機能ついてたりする???

 

ダンスだけではなく、「All I need is love」の「is」にかけたビブラートでは歌唱スキルを見せつけ、西山くんとの息のあったペア振りで魅せる。そしてサビ頭では「Romantic」でバチバチのウインクを決め完全に今回のパフォーマンスの主役級の輝きで私のハートをかっさらっていく原くん。誰か……Romantic止めて。(C.C.B)

 

そして後からYoutube版を見返していて感動したポイントなんですけど、「Purple Rain…」の歌詞の部分で原くんだけは首だけじゃなくてしっかり目でも空を見上げているのですよ。原くんの上には雨雲があったそして最後の「溶けてく into the dark…」でも雨の具合を確認するような芝居をして、セルフ伏線回収してる。もうこれって本当に当たり前じゃなくて、(自分は一応エンタメ関連の仕事をしているのですが)一般にプロと呼ばれる人の中でも、歌詞や振付の解釈までできる人ってそうそういないのですよ。段取りとして振付をコピーする人と、「なぜその振りなのか」までを考えてパフォーマンスできる人では、本番でのパフォーマンスの深みに大きな差が出てくるNOSUKE先生の言うところの「世界観の表現」ってやつなんですけど。圧倒的後者の役者&アイドル原嘉孝さんにひれ伏すしかない。

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『革命のDancin’night』、みんな原ちゃんが好きになる

五次審査は勝利くんチームへの配属。

 

はい、ビジュ大爆発。

 

我こそは黒髪短髪パーマセンター分けがなにより好きな女、(今振り返れば四次審査の前髪長めのハイトーンの色気もすごいのだが当時は登場の衝撃で目が眩んでいたため)五次審査のDAY1で急にビジュアルという武器をぶっぱなされて衝撃を受ける。DAY17くらいになるとかなりパーマ落ちてきてるんですけど、それゆえに途中髪を耳にかける動作の供給が発生。

「ウ”ッッッッッッッ」っという声と共に胸を押さえてうずくまる私。

 

そして原くんのムードメーカーっぷりは今回も健在。猪俣くんが振り入れに苦戦しているシーンでも、次の「Lonliness」の頭までちょっと踊ってちょけて、頭を下げる猪俣くんに「ハハッ」って優しく爽やかに笑ってあげるんですよ。

始まってしまうだろ………………………恋が……………………………。

(主題歌:名脇役

 

 

勝利くんが今の振り入れのペースは速いから心配しすぎるなと言っているときにはうんうんと頷いてあげて、猪俣くんの表情を気にしてあげて、声をかけて。

プロデュース側の勝利くんの言葉って、どうしても候補生からしたら真に受けていいものか一瞬迷ってしまうと思うのですが、そこで(これまたまっすぐな)原先輩が同意してくれることで「本当にそうなんだ」って思えると思うんですよね。しかもその後も編集で音声抜かれてたけど「そっか、ここは…」って教えてあげてましたよね??中間管理職として優秀すぎるよぉ………っ!!!

 

ハンドマイクを上げるタイミングを揃えろと言われたら「まず自然にやってみよう」と道を示し、西山くんが腕の角度を揃えるのに苦戦していたら「身体の癖だね」と励まし……同じ候補生の立場でありながら芸能の世界で学び取ってきたノウハウをたくさん持っていて、それを惜しげもなく提供してチームのクオリティ向上に寄与する原先輩。こんなん1チームに1人欲しい人材。頼む、原嘉孝の分身かなにかを生み出して弊社にも転職してきてくれませんか??

 

本番パフォーマンスは「Heartbeat~♪」の左脚の足さばきが美しすぎて一回記憶を失ったまである。ピアノの音色で少し空気が変わる間奏の入りが蝶のように華麗に舞う原くんのソロなのはもう佐藤勝利プロデューサーとNOSUKE先生から原くんへのプレゼントだったと思ってる。

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五次審査以降の共同生活やインタビューは、他候補生との関わりを見ながら、もっともっと原嘉孝という人を好きになる時間だった。「そういうのやりだすとやばいっすよ」って素直に言えるところ(これがあったから逆に風磨くんはバラエティ展開に踏み切れたところがあると思った)、おもしろいことがあったら真っ先に爆笑するところ。フィードバックの時と同じで、ちょっとネタが発生したときに原くんが笑うことで周りも「ここ笑いどころなんだ」と思える、そういう信頼感が流れていた。この辺はもうこれより上の点がないのに手元の好きですボタンを連打しているフェーズだったと言っていい。ピコピコピコピコ。

 

 

幕間:timelesz projectについての分析

ここで少しタイプロという企画について真面目に考える。

timeleszが今回のプロジェクトを通して「売れたい」と見据えているのはまさに嵐のような国民的グループなのだと思う。そして、(もう散々いろんな新書で議論されてきたことと思うが)ファンとして嵐を応援してきた自分が思う「国民的アイドル」に必要な要素はこうだ。

 

①品の良さ

スポンサーと仕事をしていく上で見た目の品格と素行の良さが必須。世は大コンプライアンス時代。

②JPOPを中心とした幅のある音楽ジャンル

特定の音楽ジャンルやコンセプトに寄せすぎるとターゲットが狭まるし飽きられる。

③メンバーの個性

ビジュアル面でもキャラクターでもそれぞれのメンバーの印象が違うことが、いわゆるお茶の間ファンへのわかりやすさとファン層の拡大の両面で有効。

④あたたかい関係性

メンバーの性格は違う方がいいが、それが集まった時には楽しい空気が生まれなければならない。いわゆるわちゃわちゃ感。

⑤グループとしての物語性

お茶の間ファンを熱心なファンに格上げしていくために、「応援したい」と思わせるストーリー性が肝要。わかりやすく言うとエモさ。

⑥プロモーション

これはお金で解決する部分。話題性がないと人の目には留まらない。

 

⑤⑥は今回のtimelesz projectそのものによって満たされる要素である。timeleszの3人の物語ももちろんありながら、プロジェクトを通して審査の過程を見せることでグループとして新しいストーリーを持った状態で出発することができる。そしてこのプロジェクト自体の広告効果は言わずもがな、事務所初のデビュー組&公開オーディションということで世間の注目が集まっている時点で既に成功と言える。

 

①②についてはSexyZone時代からこのグループの得意とするところだと思う。違うグループのファンの私でも、セクゾが様々なアーティストと組んで楽曲提供してもらっていることには関心を持っていて、アルバム『POP×STEP!?』は発売当時に購入してた。したがって、このオーディションでは最低限 timeleszの既存楽曲をパフォーマンスできるポテンシャルがあるかを量ればいい。おそらく3次審査までの審査基準はこういったスキル面での評価が強かったと思われる。

 

そして、timeleszが他の試みではなく「増員」を選んだ理由は③④にあると思う。

 

まず③だが、単純に異なる個性を持ったメンバーが増えれば、これまでtimeleszの3人にはついていなかったファンの獲得を見込める。これは個人の感想なのですが、SexyZoneというグループには、華々しいデビューであったが故にデビュー曲の白服に薔薇、という高貴なパブリックイメージがあったと思う。そのキラキラ・ロイヤルなアイドル像に惹かれたファンもきっと多くいる一方で、アイドルに関心が薄い層や男性にはやや格調が高すぎると感じさせていたのではないかという印象もある。前述したSexyZone時代の多彩な楽曲や『Anthem』はきっとそういったイメージからの脱却を狙っていたのではないかと思うのですが、さらにドラスティックにブランドイメージを変えるなら、メンバーを追加して新しいデビュー曲を歌う、というのは効果的な一手だ。そのためには、既存楽曲や今の3人のメンバーの魅力を損なわない範囲で、つまり「キャラ被りしない」で「パフォーマンスに真摯に取り組める人」を加入させればいい。

 

加えて④である。これはすごくドライな言い方になってしまって恐縮なのですが、外から見ていた身としてはSexyZoneの5人ってどうしても五王子って感じで、(ファン目線では違ったと思うのですが)横並びではしゃいでいるようなイメージは薄かった。そういう印象を持ってタイプロを見ると、3人がしきりに「仲間探しである」「協調性が大事」「とにかく笑って楽しくいたい」と言っていて、横並びでの仲の良さ、みたいなのをグループイメージとして強く打ち出していきたいのだろうなと思わされる。

したがって、四次審査~最終審査は必然的に、グループに新しいイメージをもたらせるキャラクターであるかどうかや、既存メンバーとのマッチングがどうかといった視点が強かったのではないかと思っている。

 

 

 

最終審査と結果発表

こうして考えるにつけ、どうしても「3人が原くんを欲しくないはずがない」と最終の結果を祈らずにはいられなくなっていった。

ananのインタビューで「自分がtimeleszのカラーではないことはわかっている」と言っていた原くん。

でもそれこそが原くんが加入する意義なのだ。こんなに美しく巧いパフォーマンスができる。3人との関係値もしっかりありながら、一般候補生からも兄貴分と慕われる、風磨くんの言う「先輩も後輩もできる」優しさがある。『RUN』を聞いただけで泣くほどの想いもある。すべてを兼ね備えた上で3人と被らないキャラクターを持っている。採らない理由がない。

 

 

それでも最終審査、特に結果発表までの1週間はかなり情緒不安定な状態で過ごした。『Purple Rain』は異彩を放つ存在感だったし、ショーの要素が強い『革命のDancin’night』なんて経験値のある原くんからしたら得意とするところだろうと思っていて、実は五次まではほとんど結果にドキドキすることはなかった。ただ、五次審査を振り返ってみると、寺西くんがリーダーの立場かつパブリックイメージと違いそうな楽曲へのチャレンジという課題を与えられる一方で、TeamSATOは猪俣くんの喰らいつく姿勢やロイくんのパフォーマンスの完成度の高さにスポットが当たっている印象があった。私の中ではすでにタイプロがハラプロになっていたが、原くんが五次のフェーズでそこまでフォーカスされていたかというと、(そのスキルの高さゆえに)そんなことはなかったと思った。それが一抹の不安になった。

Xを開けば知らない人の結果予想がおすすめタブに流れてきて、その予想に原くんの名前がないことに勝手に落ち込み、同じ気持ちの人を探したくてエゴサしては心無い言葉を目にしてしまって腹を立てたりした。

 

 

だから入れ込まないようにしようと思っていたのに、

こんなはずではなかったのに、

私はもう合格者の枠がたった1人だったとしても、

それが原くんであってほしいと思ってしまっていた。

 

 

 

 

2月15日、震える手で最終話の再生ボタンを押した。

情緒不安定すぎてなぜかメンバー紹介の時点で既に泣いていた(担タレかも)

 

最終審査のパフォーマンス。『Rock this Party』の栄えある歌いだしも、「どこでだって君といたい」のウインクも、『RUN』のあんなに力が入っているのにピッチが狂わない寺原の落ちサビもすごくよかったけれど、個人的に一番印象的に残ったのは最後の「Gotta Rock this Party」で大夢くんと目を合わせた瞬間のとびっきりの笑顔だった。この人は本当に、横にメンバーがいてパフォーマンスできるのが嬉しいんだな、と思った。だったらやっぱりtimeleszに彼の居場所があってほしいな、とも。

 

自分がこれまで事務所のグループのファンをしてきて感じたのは、内側からグループの形を支えるのは「グループでやりたい」という想いに他ならない、ということである。「デビューしたい」でも「売れたい」でも「理想のパフォーマンスをしたい」でも「ファンを幸せにしたい」でもない。そういう想いよりもメンバーとグループに対する思い入れが勝るときにのみ、グループは形を変えずにいることができるのだと思う。

だから原くんのような人こそグループにいるべきなのである。「誰かのため」を考えすぎるタイプだと思うから。本当はそこまでポジティブなわけでもメンタルが強いわけでもなさそうで、でも仲間がいることで強くなれる人だと思うから。一人でもグループでも、違う輝き方ができる人だと思ったから。

 

最終選考の時間。

「組み合わせがよかった」「横にいるメンバーを意識してパフォーマンスできているか」「長い先のことを考えて」と3人が発する言葉のすべてが、私の期待を募らせていく。俳優部の2人は一応イレギュラー枠なので呼ばれるとしても1番目ではないだろうと思っていたけれど、寺西くんが呼ばれた後から本当に祈るしかなくなり、5人目、最後のメンバーと言われたときに、なぜか祈りが「呼ばれる」という予感に変わった。風磨くんの長すぎるタメの後に、待ち望んだ名前が聞こえて一気に号泣した。

想いが叶わなかったメンバーは絶対にいろいろな感情があるはずなのに、原くんに対して革命で一緒だったロイくんが、パプレで一緒だった大夢くんが微笑んでくれるのも、寺西くんが泣いてくれるのも、全部原くんの築いてきたものに対する証左だと思った。

 

 

『Rock this Party』で表現力が爆発する

 

冒頭に戻る。

 

そんなわけで気づいた時には沼の中、原嘉孝くんのパフォーマンスの眩しさに魅せられてしまった私は、カオナシのごとくこの世に存在するドラマ、雑誌、ブログ、Youtube等々の供給を漁り啜っては『Rock this Party』を延々リピートする生命体になっている。

 

だってこの曲、原嘉孝さんがまったく飽きさせてくれないのだ。

1番のブリッジの「上げるtensionがdress code」も2番のAメロも好きすぎて、通り過ぎた後5回くらい繰り返さないと満足できない。一周回って歩行中とかには不向き。Apple Musicの機能で歌詞に飛んで再生すると、ちょっとだけ歌いはじめが切れてしまうのが惜しくて、人生で初めてちょっとだけターンテーブルが欲しいと思っている。

 

なにって原くんのパートはそれぞれで全然歌の表情が違うのですよ。「上げるtension〜」は実は最終審査で乃我くん猪俣くんが歌ってたのより少しピッチが低いのに、勢いのある声色で歌っているから歌詞の通りテンションが振り切れたような勢いを感じさせてくれる。さらに「dress」「code」で半音ずらした上に、尺いっぱい「code」を引き伸ばした遊び心。こういうパートが『Rock this Party』の「ザ!Cメジャー!」みたいなメロディーに飽きが来ない香りを添えていると思う。こんなんマグロの握りの中の多めのわさび、トマトソーススパゲッティに添えられたバジル。

2番のAメロはーー最終審査での「笑う太陽」も最高of最高だったけどーーこれがまた原くんのためにあるようなパートで。「ちょけてピース」は原くんが仲間内でふざけるときのあのトーンなのに、「また踊ってご機嫌に♪」で急に余裕のあるお兄さんになる。勘弁してください。前半タンクトップだったのに後半スーツです。1個のパートの中で衣装早替えしてる。おまけに「ご機嫌に〜っ」の歌い終わりに入れてる吐き切りのブレスも良すぎる。それあれです、Official髭男dismがよくやるやつです。本当に細部に至るまでテクニックで魅せてくれる原嘉孝さん。

そして多分、「ちょけてピース」はかわいくピースしてくれるし、なんなら多分ウインクしてくれるし、後半は柔らかく微笑みながら歌ってくれる。もう歌番組3件くらい見たかもってくらいステージ上のパフォーマンスが想像できる。というか延々とこのブログを書いているうちにレコーディング風景がアップされましたが、このAメロでやっぱりピースしてて本当にサティスファクション。まさかあんな裏ピースだとは思わず私は今気がおかしくなっているが、つまりそう、歌ってる顔が想像できるくらい歌に表情があるのがすごいという話をしたい。アイドルは存在全部で観客を楽しませる仕事なので、声色や言葉に感情を載せられるか、というのはあまねくアイドルに必要なお芝居のスキルだと思うのですが、当然のようにそれができている原くんのすごさ。

それに加えてとっても美味しい「Gotta Rock this Party」も「because…」もある。4分弱の曲でこんなにいろんな色を見せてもらっていいんですか?

あんな、たぶん原嘉孝の表現って200色あんねん。

 

 

世の中には大きく分けると二通りの役者がいると思っている。どんな役も自分のカラーに寄せられるタイプと、役に合わせて自分のカラーを変えるタイプの役者である。

少なくともこのタイプロを通して、原くんはどちらかといえば後者なのだろうなと感じている。これまでのキャリアで培った材料(スキル)と蓄えた調理法(テクニック)を組み合わせて、オーダーが和食なら和食、ジャズならジャズ、ポップならポップと求められるものに応じて出力できる料理人のようなアイドル。場面によってはあえて使わない材料もやらない調理法もある。

だからその組み合わせのバリエーションが限りなく多い。

 

 

このところ、いろんな雑誌などで原くんが「真夏の太陽」と形容されているのを目にすることがある。確かに太陽と言いたくなるようなエネルギーと華があるよね、と評価されていることを嬉しく思いながら、ふと「原くんの輝きってもっと意思の介在する明かりなんだよな」と思ったりもする。

 

そのときそのときの楽曲に、会場に、状況に合わせた色と角度で。

仲間とのバランスを考えて。

彼が持つ優しさで、そういうことを精一杯に考え、ときに悩みながら、「原嘉孝」のパフォーマンスを作り出しているように思える。

 

 

 

だからそう、喩えるなら、

それはこれからも彼がたくさん浴びることになる、

とびっきり眩しい、ステージ照明のような輝きである。

 

 

 

 

*1:やっぱりタイプロ見てた加藤シゲアキさん