EVERGREEN

好きな人が物書きなもので、つい。

終わらない物語ーNEWS『STORY』30000字ライナーノーツ

お題「NEWSアルバム『STORY』レビュー」

 
 
 
 
 
愛がすごい。
 
 
 
 
『STORY』を聞き終えた時、なにかとてつもなく大きなプレゼントをもらってしまって抱えきれないような、気恥ずかしいような、そんな気持ちになって思わず天井を仰いだ。
 
 
NEWSのアルバム・プロジェクト最終章『STORY』。
これまで夢の国(『NEVERLAND』)、宇宙旅行(『EPCOTIA』)、仮想空間(『WORLDISTA』)といったフィクショナルな世界観を楽しんできた私たちにつきつけられたNEWSの「圧倒的リアル」。
 
『STORY』というタイトルの意味する「物語」とは、デビューから今日までのNEWSの17年の「物語」であり、共に歩んできたファン一人一人の「物語」であり、NEWSとファンの関係性の「物語」でもある。
 
 
 
NEWSは、度重なるメンバーの脱退や活動休止と言ったアップダウンのイメージが強く残るグループだ。しかし、一度起きてしまったことは変えられず、世間的なイメージもまた変えることが難しい。ならばと彼等はその”歴史”を上手く利用し、「何度でもまた立ち上がれる」というメッセージの楽曲を多く歌ってきた。そんな”NEWSの持つ物語性”をそのまま作品にしたのがこの『STORY』だ。この『STORY』という旅で私たちはNEVERLAND〜WORLDSITAまでの直近3作品、そしてデビューから今日までの歴史をメンバーの独白とともに辿り、これからのNEWSの物語ーー『NEW STORY』に思いを馳せる。
 
 
 
 
そして、その物語に絶対不可欠な存在として語られるのが、”ファン"の存在である。
「エンターテイメントに対する責任」「ファンのみんながいてくれたから」様々な言葉と音楽で表現されるNEWSからのメッセージは、おきまりの「みんないつも応援ありがとう!」なんてありふれたセリフではない。「ファンが自分たちに励まされて生きていることこそがやりがいでアイドルを続けられる」のだという、生きた言葉だった。
 
 
私はどこかで、「自分はアイドルから勝手に元気をもらっている」と思っていた。些細な表情の変化に心躍らせ、一度として同じものはないパフォーマンスに興奮し、些細な発言に胸を打たれる。それは、アイドルの預かり知らぬところで自分が勝手に楽しんでいる行為で、むしろ本人に知られたら恥ずかしいようなことだと思っていた。
 
 
 
しかし、NEWSは知っていた。
 
 
「ファン」という人たちが、ラジオで何気なく放たれた一言に心救われていることを。
たった一日客席から顔を見れることが楽しみで毎日を生きられることを。
私たちにとって彼らのエンターテイメントが必要火急のものであることを。
それを理解した上で彼らはあの手この手を尽くし、アルバム一作を通してファンに全力で愛(かえ)す*1のだ。
 
 
 
 
『STORY』というアルバムは、紛れもないNEWSのセルフドキュメンタリーであり、そしてファンへのラブレターである。
 
 
 
 
今までのNEWSのアルバム・プロジェクトでも、フィクションが好きな人に聞いて欲しい、二次元が好きな人に出会ってほしい、音楽好きに手にとってほしい、という感想を抱いてきた。
 
 
 
 
今作は、応援したい誰かを持つすべての”ファン”に聞いてほしい一作である。
 
 
 
 
 
 
 
 
以下、一曲ずつ楽曲について書いていく。
(長いので目次をつけました。)
 
 
 
 
 
 

1.STORY

記憶の糸を辿るようなストリングスの音色。次第に音が増え、物語の幕開けを高らかに宣言するようなファンファーレが鳴る。暗闇の中で聞こえる語り、そこからはじまるような壮大な音のスペクタクル。まるでディズニーシーの名物ショー『ファンタズミック!』のようだと思う。
 
あの未知の物語に招待される高揚感。
待ちわびたエンターテイメントが幕を開けるときの興奮。
NEWSファンが毎年ライブで体感してきたあの感動を、この2分の壮大なイントロは音楽だけで感じさせてくれる。
 
特に、イントロの後半パートで重なる語りがずるい。

You have finally made it to the 4th area of “Story”
“Story” is a bit different area compared to the other areas, this time you are traveling inside the member’s heart.
Here, we would like to take a look back about the time you and the members have spent together.

— STORY PROJECT OFFICIAL (@STORY_project_4) 2020年2月11日

Are you ready to hear the voice of their heart?
Alright, Let the Journey Begin.

— STORY PROJECT OFFICIAL (@STORY_project_4) 2020年2月11日

 

この言葉に重なる、花畑を舞う蝶のような柔らかいストリングスの調べ。声に誘われるように、私の頭の中でNEVERLANDからWORLDISTAまでの壮大な回想がはじまる。鍵職人のNEWS。初めてのコンサートで見た風景。宇宙旅行。ドーム公演。ファンサの記憶。NEWSが見せてくれたフィクションと、自分の目で見たリアルな記憶が混ざって、どうしようもなく感慨深い気持ちになる。どうかライブでもそんな演出があってくれと願わずにはいられない。

これは預言なんですけどあの長いイントロの間に私たちが旅してきた記憶が映像で流れるんですよ……鍵職人、パイロット、そしてアイギアをつけたNEWSが、コンサートの記憶が、歴史のページを辿るように流れてきて、最後めくった1ページから“STORY”がはじまるんですよ………… #NEWS #STORY

— べーぐる (@bagle00) 2020年2月18日

 

イントロのオーケストラとは打って変わり、まるで全く違う曲かのように始まるAメロ。
 
「胸に抱えたSTORY
誰にも言えずに 行き場所なくしても」
 
ここで最初からこんな言葉があろうとは思いもしなかった。
 
『STORY』発売前、「STORY PROJECT」と題してNEWSは去年の夏からロゴ、「将来の夢」を語る声、そして「あなたのストーリー」をファンから公募していた。最初は楽しそうだと思ったが、そのうちどうしても採用/不採用が出てしまうことへの危惧などから気持ちが乗らなくなり、結局私は応募しなかった。もちろん、人に言える話じゃないからとか、さまざまな理由で応募しなかった人は多くいるだろう。
 
それをNEWSは知っていた。その上で、「誰にも言えなかった人」へのセーフティーネットを表題曲の一番最初に用意した。絶対に「自分たちのファン全員」に届けるという執念すら感じる心配り。『STORY』を楽しく聞けるだろうか、そんな心配をしていた人の袖を掴んでNEWSは言う。「ちょっと待って、最後まで聞いていって、これはあなたのSTORYでもあるのだから」と。
 
 
 
 
さらに『STORY』で意外だったのはそのサビである。
 
「超えろNEVERLAND いまEPCOTIA This is the WORLDISTA」
 
ストレートにこれまでのアルバムタイトルをなぞっていくだけの歌詞と、そこに重なる「N!」「E!」「W!」「S!」のコーラス。『STORY』が過去三作の伏線回収も兼ねた「シリーズ最終回」であることを強く感じさせる。
 
 
しかも、それはサビだけではない。
 
「脅威は待ってる この世界は誰のモノ」、と『NEVERLAND』の「7つの脅威がそこで待ってる」という歌詞を彷彿とさせる部分には、『NEVERLAND』のサビで使われていた「SOUND, with the LOVE, MAGIC, RAY, FIRE, WATER, DANCE」の声が敷かれている。
 
そして、『EPCOTIA』の「1961 そしてまた一歩」のように年号が歌われている次の「声上げた2003 旅ははじまり」では『EPCOTIA』の「Venus, Uranus, Saturn, Jupitar, From the Earth…」が、『WORLDISTA』のようなカタカナが特徴的な「未来ヲ描ク STORY」からは『WORLDISTA』の「イマジナ ギミヤラ THIS IS THE WORLDISTA」が鳴っているのだ。
 
先述した「声上げた2003」の2003はNEWSのデビュー年であるが、つまりこの曲はデビューから今日までのNEWSの歴史、そして2017-2019年のアルバム・プロジェクト過去3部作の歴史の上にこの『STORY』が生まれたことをあの手この手で表現しているのである。
 
 
そう考えてみると、この壮大なイントロはどこか夢の国・『NEVERLAND』を彷彿とさせるし、それとは打って変わって重厚なビートが響く歌パートはデジタルな仮想空間がテーマだった『WORLDISTA』のようだ。もしかしたらライブでは、この曲のイントロとAメロの間に過去の表題曲が挟まるなんて演出もあるかもしれない。
 
この5分5秒で、わたしたちは第四のエリアに招かれただけでなく、第一〜第四のエリアを一気に旅したような感慨を味わうこともできる。
このアルバムが単体として存在するだけでなく、アルバム・プロジェクト四部作のフィナーレでもあることを提示してくれる秀逸な表題曲である。
 
 
 
 
 
 

2.SEVEN

『STORY』のアウトロから間髪いれずにはじまる疾走感のあるイントロ。前作『WORLDISTA』での二曲目『DEAD END』を彷彿とさせる、コンサートのオープニングを加速させるようなC&R曲だ。
 
何より面白いのは歌詞カードの右下に添えられた『()内は”みんなでつくる物語” 』の文字。今までもC&Rが楽しい曲は多くあったけれど、ここまで明確に指示があったのは初めてだろう。そのカッコ付きの歌詞には音源の時点でしっかりコーラスの声が入っており、当たり前に「ファンのパート」として音源が作られている。"みんなでつくる物語"だから、ライブで披露して声が合わさってこそ真に完成する一曲、というわけだ。
 
しかもサビだけ、一箇所だけというわけではなく増田さんのラップ部分にまでがっつりファンパートが組み込まれている。(『感謝カンゲキ雨嵐』はじめ英語の偏差値慶應レベルの難易度高いラップで鍛えられたジャニオタでよかった…。)
 
 
さて、『SEVEN』というタイトルだけあって、歌詞には”7”が多く登場する。
 
「7音階(ななつのおと)に乗り」
「探した7つの希望」
「7つの惑星(ほし)の下」
「月火水木金土日」
「rainbow 空は7色」
 
そしてサビで繰り返される「4+7」。
 
この「4+7」、私は「SEVEN」は「7つの要素」そのものか、「ファン」を指していると考えている。
 
これまでのアルバム・プロジェクトには、「7」のつく要素が多く登場してきた。
NEVERLANDでは”炎”、”水”、”光”、”踊り”、”音”、”魔法”、”愛”からなる"7 elements”、EPCOTIAでは地球を除く太陽系の”7”つの惑星、WORLDISTAでは”7つの希望”として。
 
また、アルバム・プロジェクト以外にもNEWSには”7”を想起させる曲がいくつかある。
 
たとえば、
 
「7音階(ななつのおと)に乗り」→?
「探した7つの希望」→『WORLDISTA』
「7つの惑星(ほし)の下」→『EPCOTIA』
「月火水木金土日」→『weeeek』
「rainbow 空は7色」→『SEVEN COLORS』
 
というこじつけもできるかもしれない。
 
単純に考えれば、そういった7つの要素と「NEWS」(=4)が組み合わさった無敵のエンターテイメント、という意味にとれるような気がする。
 
 
一方で、「4+」と言えば思い浮かぶのはライブ定番曲『4+FAN』。
ここでいう”4”はもちろんNEWSである。
とすると、「4+FAN=11」、つまり「7=FAN」、という三段論法も成立するかもしれない。
このアルバム・プロジェクトの伏線回収も兼ねているのが『STORY』であるから、ライブでファンが7つの要素に振り分けられるような展開になる、ということも考えられる。
 
いずれにしろ、謎解きはライブのあとで、ということになりそうだ。
 
 
 
ところで、ラップ部分の「4+7 俺ら無敵のELEVEN」。「11」というのはサッカーの一チームの人数でもあるわけだが、この曲に続くのは日テレ系クラブW杯テーマソング『SUPERSTAR』である。ここで少しでもサッカーを意識させた状態で、サッカーソングに繋がっていく…というのが故意だとしたら、なんとも粋な構成である。
 
 
 
 
 
 

3.SUPERSTAR

『SUPERSTAR』を聞いて思い浮かんだのは、水面すれすれから徐々に高度をあげて飛んでいく、一羽の鳥の力強い姿。
 
そんな想像を抱かせるのが、『STORY』『SEVEN』に続いて印象的に使われている羽ばたきで風を切るようなストリングスと、「ひとり うみわたり とおい きみをおもう」と平仮名で綴られた歌い出しだ。増田さんのやわらかい声によく似合う平仮名は古典の和歌のようで、仮名の音の中に広がる無数の意味を想像させる。そして、言葉を漢字に変換して理解しようとする過程で、より強くその意味について考えてしまい、知らず知らず視覚的なイメージを描かされる。この表記にはそんな計算された不自然さがある。
 
 
NEWSが歌うサッカーソングは2015年の『ANTHEM』あたりから徐々に変化し、『KINGDOM』『SPIRIT』そして今回の『SUPERSTAR』とローテンポなナンバーが続いている。しかしこの、大会の祝祭性やスポーツのエネルギッシュさにフォーカスするのではなく、選手の内面や静かに燃える闘志を描き出すような楽曲こそが、30代アイドル・NEWSの応援歌だ。挫折、苦悩、焦燥、自分たちがさまざまな困難を超えてきたからこそ、実体験に基づく想いを歌に乗せ、誰かを励ますことができる。NEWSが歌うからこそ、「いくつもの夢抱き あの敗北からまた一歩挑もう」という歌詞が強い説得力を持つ。
 
2003年、バレーボールの応援からスタートしたNEWSの歴史。言葉を変え、メロディーを変え、常に誰かを応援してきた、今のNEWSの応援ソングがここにある。
 
 
 
 
 
 

4.We Never Gave Up - Interlude-

NEWSのアルバムではお馴染みになったInterlude。
これまでのアルバムでは、声優さんがその語りを担当し、アルバム全体のシナリオをつくるような役目を果たしていた。
 
しかし今回始まったのは、”挫折”についての加藤さんの語り。
ここに来てはじめて、私は「メンバーの心の旅」というコンセプトをはっきりと理解したのである。
 
 
「ここで具体的に言うのは…」と渋りつつ、「メンバーが減った時」という具体的な問いにも真摯に答えてくれる加藤さん。私が特に好きだったのは「挫折し続けてそれでもまだ自分に可能性を探してた」という言葉だった。
 
 
以前、「自己肯定感の低い人」には二種類あるんじゃないか、という話を友人としたことがある。比較的自分への期待値が低く、肯定感は低いし卑屈っぽいけれど「自分なんてこんなもんでしょ」と思える人と、自分への期待値が高すぎて「なんでこんなにできないんだろう」「本当はもっとできるはず」と思ってしまう人。圧倒的後者の私から見ると、きっと加藤さんもそうなんじゃないかと感じる。
 
聞こえがいいように言えば、飽くなき向上心故の自信のなさ。極端に言えば「頭いいですね」って言われて「いや、アインシュタインに比べたら全然でしょ」って答えるようなおかしな謙遜。これはきっと過去に自分の傲慢さを指摘されたり、自覚したりした経験がある人によく見られる傾向で、私と加藤シゲアキさんはたぶんそういうところが結構似ている。
 
でも、そういう向上心がある自分や謙遜できる自分は嫌いじゃないと思っている上に、そもそも期待する、ということは自分をめちゃくちゃ信じていることになるので、外から見たらナルシストのようにも見える。だから、加藤シゲアキという人には「ネガティブ」「謙虚」「自信」「救いようのないナルシスト」という相反して見える言葉がすべて同居しうる
 
「挫折し続けてそれでもまだ自分に可能性を探してた」「…から、諦めなかった」と語る加藤さんに、私はどこかで理想の自分を重ねているのだと思う。自分に可能性を探してた、そこまでは確かに言えるけれど、一瞬の沈黙の後に「だから諦めなかった」と言える自信が、私にはまだない。
 
 
 
 
 
 

5.何度でも

小窓から陽光が差し込むレトロな喫茶店で、穏やかな昼下がりに物思いにふけるようなメロウな一曲。外は春風駘蕩として、テーブルには差した光が綺麗な帯をつくっていて、お気に入りのコーヒーが美味しくて、だからこそいろんなことを心穏やかに思い出せるような、そんな午後。
 
「空白」を強く感じさせる休符の多いイントロ。まるで回想の中で断片的な記憶を繋ぎ合わせるかのように、一曲を通してこのメロディーがずっと響いていく。音楽好きが好みそうな進行だなあと思う。
 
「僕たちは諦めなかった」と過去を振り返ったInterludeの流れを引き継いで、楽曲は加藤さんの「踊るように時は流れ」というパートから始まる。Interludeでメンバーの変遷についても明確に語られたからこそ、「残る仲間たちとともに」という歌詞がダイレクトにNEWSを想起させる。その後に続く1〜9の数字が入った歌詞は結成当初NEWSのメンバーが9人だったことから来ているのだろう。それを「今も思い出すけれど」。ここもInterludeの加藤さんの語りと強くリンクする部分。このアルバムのテーマが「メンバーの心の旅」と置かれているのも納得する。
 
 
この曲は現代の音楽シーンをときめく向井太一さんからの楽曲提供である。
 
先日「NEWSのコンサート映像を何度も見て曲に落とし込んだ」とつぶやいていた向井さん。
ファン、ではない向井さんの目にもNEWSはこう映ったのだと思うと、改めてこの『STORY』というアルバムは良い意味でも悪い意味でもNEWSというアイドルを象徴したアルバムだなと感じる。
 
それから、最後のサビで重なるコーラスの声。これは私たちファンの存在ではないだろうか。NEWS4人だけではなく、「どんな先でもみんな(=私たち)がいる」から「何度でもまた歩き出せる」。このアレンジは、なんだか向井さんからNEWSヘのエールのようで、NEWSと私たちファンの宣誓のようでもあるようだ。
 
 
そして、この曲を聴いて改めて思ったのは、本当にNEWSは歌が上手いし上手く"なった”ということ。ただハイトーンが出る、音を外さないというのとは違う、楽曲に合わせた自在な歌い方ができるようになったと感じる。この曲に関して言えば、決して音数が多くない淡々とした曲のテイストに合わせるように、『SUPERSTAR』で聞かせてくれたような力の込もった歌い方を一切せず、ウィスパーボイスや自然なファルセットを多用しているのが特徴だ。
 
それを象徴していてたまらないのが加藤さんの「いつしかバイバイ」と「ただいまと 言ぃえるぅ場所」。これは自担色眼鏡だけれど、この曲の中でも特に歌い方のアレンジが光っているポイントだと思う。
 
ハスキーで綺麗すぎない人間味のある加藤さんの声はNEWSの曲にいつもワイルドさやアーバンな雰囲気を添えてきたが、この曲の「お洒落さ」に関してはほぼ加藤さんのそれから醸されていると言っても過言ではないと思う。NEWSに加藤シゲアキという人がいなければ、きっとこの曲はここまで光らないだろうーーそう思わせるほどの存在感。もちろん他の3人にも同じような曲がたくさんあるわけで、見事に異なる4人の声質を存分に生かし、重厚なユニゾンを奏でたかと思えば、誰か一人を立てることで、癖のある楽曲でも難なく歌いこなすことができるのがNEWSである。NEWSの歌唱力は、もはや「アイドル」のイメージを大きく超えた、アーティストの域に達したと私はここに確信する。
 
 
 
 
 
 

6.What is  Love? -Interlude-

一曲を挟んですぐに、「愛」についての小山さんの語り。
楽曲の並びを見たときには一曲でInterludeという構成が挑戦的だと思ったりもしたが、この「曲が終わってすぐ語り」という構成が、このアルバムにラジオ、あるいは音楽ドキュメンタリーのようなテンポ感を生んでいる。
 
小山さんが語る「真実の愛」の定義はこうだ。
「自分からだけじゃなくて相手からも愛されてはじめて”愛し合う”ということが実現する」
「一生続く愛は……それを信じて生きてるけどね」
その言葉を受けて、次からは双方向の愛情、「愛し合うこと」を想起させるラブソングが続く。
 
 
 
 
 
 

7.STAY WITH ME 

fm yokohama・SORASHIGE BOOKでも何度か紹介されていた、eillさんの提供楽曲。
しっとりしたピアノから始まるスローなバラードのようで、二番からは音数が増えるドラマティックなアレンジになっているので聞き飽きない。間奏以降のストリングスの流麗な響きが、まるで映画の挿入歌みたいだなと思う。個人的には通勤電車の窓の外に流れる景色を見ながら聞くのがお気に入りだ。
 
 
さて、少年倶楽部プレミアムで解禁されたこの曲を見たときの正直な感想は、「またこんな両思いみたいな曲を作って…」だった。
 
そこには私からNEWSへの気持ちも、NEWSから私へ、と取れるフレーズも含まれていたからだ。
 
 
 
つまりこの曲は二通りの聞き方ができる。
NEWSから自分へ、と捉えるか、自分からNEWSへ、と捉えるか。
 
前者は少プレで披露されたとき「他の誰かじゃなく君だけを笑顔にする準備は万端」でカメラ(の向こうのわたしたち)を指差してくれる増田さんを見れば言わずもがな。特にNEWSは、ファンを実体のない空気などではなく、「一人一人の人間」として強く認識してくれるアイドルでもある。その姿勢は今回のアルバムのファン参加型企画や『君の言葉に笑みを』『クローバー』のような曲、また本気の人生相談に真摯に答える加藤さんのラジオなんかにも現れていると思うが、NEWSが言う「君=You」は複数形でありながら単数形でもあり、常に「Everyone」で一人一人に向いている。そういう意味で、この詞の「君だけを」は「NEWSファンだけを」とも捉えられるし、さらに文字通り「あなただけを」とも取れるのが面白いところである。
 
翻ってファン目線ではどうか。
 
ジャニーズのファンは自分が一番好きなタレントのことを「担当」と呼ぶ。ファン用語にしてはなかなかに重々しいこの名前は、その人の個人のお仕事を欠かさずチェックしたり、うちわを持ったりすることで「他の誰でもないあなた」に風を送りたいというファンの主体的な意識から生まれていると私は思うが、そう考えると、「他の誰かじゃなく君だけを笑顔にする準備は万端」という歌詞は私たちファンにも言える台詞なのではないだろうか。ときに使命感すら感じながら出演番組を視聴し、ライブで個人うちわを買う私たちの行動にはきっと「他の誰かじゃない”君"を幸せにしたい」という願望があって、その理由を聞けばきっと「こんなに好きな人に巡り会えたからね」となるのだ。
 
遡れば歌い出しの「初めて君を見たあの時を今でも覚えてる」「一目惚れの恋煩(こい)にかかった模様だ」という部分はまさにファン目線で共感できる歌詞だろう。初めて君を見たあの時、つまりは好きになってしまったきっかけというものは、どんなファンにも必ず存在する。
 
 
 
 
アイドルへの感情は、NEWSを好きだと思うこの感情は、カテゴライズするなら恋に一番近いのかもしれない。でも私はこれを恋愛感情だとは思っていない。
 
私は「恋」にあって「愛」に少ないものがあるならそれは”その人にとってオンリーワンになりたいという欲望”だと思っている。そしてNEWSに対してはその欲がなくて、もっともっと多くの人に愛されて欲しいと思っているから、私にとってこれは恋ではない。
 
でも、NEWSにとって私はオンリーワンではないけれど、『何度でも』で「君がいたから」と歌われる「君」のひとりではあるのだ。そして私にとってNEWSはオンリーワンで、お互い大切に思っていることに変わりはなくて、そこには恋ではないけど、限りなく恋に近い感情が存在しているのではないかと思う。今は「これが恋なのか予測変換や計算で測れない」けれど、「恋煩」と書かれれば確かにそのようで、10年後には的確な名前が生まれているかもしれない。そんな愛と名のつくなにかを、私とNEWSはお互いに抱いている。
 
 
 
 
それから、この曲を聞いてブレスの位置が不自然だな、と感じる人もいるかもしれない(一緒にアルバムを聞いた友人の感想はそうだった)。特に顕著なのがAメロとBメロで、たとえば一番の手越くんパートは聞いたまま書き出すと「割と僕はなんで、もこなせる器用、なはずなんだけどさ」となる。どうだろう、句読点を打つと、まるで泣いている人がしゃくりあげながらたどたどしく言葉を繋いでいるみたいだ。個人的にはこの不自然な文節は想いを伝えようとする主体の”必死さ”の演出になっているように思う。そばにいて、と伝えるために、ありったけの語彙をかき集めて、一語一語言葉を紡いで歌う-----なんだかこの曲を歌うNEWSの姿も、そんな風に見えてくる。
 
 
 
 
 
 

8.Perfect Lover

前作『WORLDISTA』での『Digital Love』を彷彿とさせる、Jazzin'park 栗原さんによるポップでエレクトロなナンバー。イントロの跳ねるようなメロディーがBメロやサビでもずっと鳴っている、音を追うのが楽しい一曲だ。
 
大サビ前、Cメロの後の盛り上がりの後に差し込まれる一瞬の空白は、『AVALON』の大サビ前と同じ手法。どんな未来を選んだとしても出会ってしまう「君」の後ろ姿に音とともに近づいていき、「君」を振り向かせる直前の時間が止まったような期待感を、この空白が演出してくれる。
 
私がこの曲で特に好きなのは、サビの「もうほっとけない」を任されている増田さんの歌声である。私はよく増田さんの歌声を、まるい、やわらかい、かるい、と形容する。そのやわらかさゆえに空気抵抗が少なく、たんぽぽの綿毛のようにどこまでも流れていきそうな声をしている。触っても弾けないシャボン玉みたいな声。だから増田さんの声は、こういう高い音から低い音へと流れていく、波のようなメロディーと相性がいい。EPCOTIA収録『HAPPY ENDING』での「でも〜確かに 君の中に夢がある」というパートもそうだ。気づいたらそばにいて、気づいたときには離れているような、掴み所のない不思議な歌声。増田さんの声はさながら春の風のようだと思う。
 
 
 
 
楽曲終了後には、WORLDISTAでの『クイズーINTERー』を思い出させるセブン・クエスチョン。ここに突然過去作のような演出が入ってくることも、セブンと言っているにも関わらず全部で9問あることも、どちらも謎だらけ。
 
座右の銘は?という質問に対する小山さんの「人生一回。」という答えに聞き覚えがあって探していたら、2015年の日記に書き留めていた小山さんの言葉を見つけた。
 
「前に進むことしか考えてない。だって人生は一度きり、今日は今日しかないんだから。悩んだり凹んだりすることもあるけど、今日という一日を楽しまなかったら人生を楽しむことも充実した時間を自分のものにすることもできない。どんな瞬間でも、自分を信じて、楽しんで目の前の道を突き進むしかない。」
 
ソースがわからないので詳しくは語れないけれど、数年前も今も、変わらず同じ軸を持って生きている小山さんは純粋にとてもかっこいいなと思う。
 
(なお、このクエスチョンを聞き終えた後に、私が「品のある 女性」でGoogle検索したことは言うまでもない。)
 
 
 
 
 
 

9.Love Story

アプリゲーム『NEWSに恋して』のタイアップとして発売されたシングルにして、間奏部分にはライブで収録したファンの声が使われているという、"共創"がテーマにある今作『STORY』らしい一曲。
 
このエピソードの恐ろしいところは、曲ありきで歌ったシンガロングではなく、全く知らないメロディーを即興で歌わされた、というところにある。2018年から2019年にかけて行われたカウントダウンコンサート、EPCOTIA ENCORE。途中、力を合わせてブラックホールから抜け出そう!という演出で、突如モニターに表示された五線譜とリズム。ドンドンパッ、のリズムを刻むブロックとメロディーを歌うブロックに分けられ、数回流れたメロディーに合わせて、「大好きな人を思い浮かべて歌ってね」と言われたが、なんの曲のメロディーだろうと必死に考えても心当たりがない。とりあえず無茶振りに答えて、一生懸命NEWSのことを思い浮かべながら必死に歌った。
 
それが最終公演ではモニターに「REC」と表示されていたらしい。その謎は6月に解けた。タイアップが発表されてから数ヶ月、『トップガン』との両A面シングルとして発売されたからだ。コーラスなんてものではなく、がっつり曲中で使われたファンの歌声には、NEWSのセリフが重なっていた。
 
Message from NEWS
Don’t worry, be happy
This is our love story
I mean…
I LOVE YOU
 
 
これが僕たちのラブストーリー。
 
 
どこまでも内向きに、ファンとのコミュニケーションを重視するNEWSは、とうとうシングルの発売すらサプライズプレゼントのようなパフォーマンスにしてみせた。昨年のライブツアー『WORLDISTA』では、ライブのトリを飾るナンバーとして、この曲を一緒に歌い踊ったファンとNEWS。「君にそうずっと恋をする」の振り付けでは、当たり前にすべての観客がメインステージにいるNEWSを指さしていた。
 
「大好きな人」と言われて、ファンがNEWSを、NEWSがファンを思う奇跡。
 
『Love Story』は、外から見たら滑稽に見えるかもしれないこの幸せな両想いを祝福する、NEWSとファンのためのアンセムなのである。
 
 
 
 
 
 

10.Commitment -Interlude-

「エンターテイメントに対する責任」という、増田さんの言葉が重い。
4人の中で誰よりもジャニーズであること、アイドルであることに誇りを持っているように見える増田さんが語る言葉には強い矜持が見え隠れする。
 
「こだわりというか、責任?」。わたしもクリエイティブっぽい仕事をしていた経験があるから、なんだかその言葉がわかるような気がしてしまう。本来万人に必要ではないもの、それを求めて、さらに自分を選んでくれたからには、120%のものを提供しなくてはいけない責任ががあると思う。そんな譲れない思いが、言い換えれば「愛」になるのかもしれない。
 
後半は次曲『エス』への導入になっている。
「アイドルがただ愛を奪い取る」ーーその言葉に、NEWSのエンターテイメント性を象徴する二曲が続く。
 
 
 
 
 
 

11.エス

増田さんのラップから始まるゴリゴリの攻めたナンバー。この曲があることで、どうしてもバラードが多くなってしまうこのアルバムのエンターテイメント性が一段上がり、聞き飽きないラインナップになっている。ライブでも振りつきで魅せられる、必要不可欠な一曲だ。
 
 
しかし私がここで疑問に思ったのは、なんで”エス"なのだろう?ということだった。
 
雑誌の情報から、「エスは”サディスティック”のエス」と聞いていた。しかしそれにしては『バンビーナ』や『 I’m coming』なんかと比べて淫猥なフレーズが少ない。それに、『STORY』の頭文字"S"とかけるにしても、タイトルは英字の”S"でよかったはずだ。
 
そこで思い出したのが、エス(イド)としての”エス”。
フロイト精神分析によって説明した心のはたらきである。

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フロイトの理論による心の構造


要約すると、私たちが自覚している意識の奥には、普段は意識にのぼっていないけれど頑張れば思い出せる【前意識】、さらにその奥に【無意識】の領域があり、その無意識領域に【エス(イド)】が存在している。【エス】は超快楽主義な心理、と捉えていい。それを【自我(エゴ)】と【超自我(スーパーエゴ)】がコントロールして、我々は日々節度あるふるまいができている…という論理だ。
 
この論理をもとに考えると、「The answer is “エス”」……答えは”エス”。つまり無意識下にある性衝動や攻撃衝動こそが正解だというのだ。自分の中の【スーパーエゴ】、つまりトリガーを取っ払い、快楽を求める気持ちを前面に出してエンターテイメントを享受してくれ、と煽っているように聞こえる。心をむき出しにしてくれ、そんなメッセージか。
 
この意味で考えると、加藤さんの「俺が見たいのは もっと奥さ 君のこと かき混ぜたいんだ」も、意識の下にある「君」の本能が知りたい、という意味に取れる。とはいえ言われるがままに【エス】と【エゴ】と【スーパーエゴ】をかき混ぜられてしまったら、自分の正しいと思っていた価値観も倫理観も全部崩壊するのではないだろうか。そんな危険な欲求を言葉にするのが、小説で人間の危うい衝動を描くことも多い加藤さんだというのがまたずるい。
 
 
さて、この発想を閃いて倫理の教科書を読み返していた頃に、ライナーノーツで加藤さんがフロイトの名前を出したというのを聞いて(書き上げるまで読まないようにしていました)自信満々に書いてみたはいいものの、完全にこの意味が正しい、というわけではないと思う。むしろこの曲は、どの意味でもそれっぽく聞こえるように作られている。エス(イド)と、サディスティックの「S」と、『STORY』の「S」を全部束ねた、多義語であり音としての『エスなのだと思う。
 
余談だが、加藤さんがドラマで青山くんを演じた『嫌われる勇気』の著者・アドラーフロイトの弟子である。いま、加藤さんがフロイトの理論に言及したことも、なんだか不思議な巡り合わせのように思えて面白い。
 
 
 
 
 
 

12.トップガン

ドラムのカウントから入る、聴き慣れたイントロ。『エス』の衝撃の後に来る『トップガン』には正直、実家に帰ってきたような安心感を覚える。しかしこの曲の安心感を醸しているのは聴き慣れたシングルだから、という理由だけではない。この曲を聞いたときに思う「ジャニーズっぽい」という感想こそが、おそらくこの懐かしさの理由である。
 
 
ジャニーズらしさとはなにか?
 
そのひとつは間違いなく「歌って踊る」ことにあるだろう。ミュージカルに端を発しているジャニーズにとって、ダンスは重要なアイデンティティだ。あるいはスケスケの衣装だったり変なグループ名だったり、教育テレビでやってそうな手洗いダンスなんてものを作ってしまうトンチキさ。それから、覚えやすいポピュラーミュージックであること。明るい曲調でありながら、テンポは速すぎず、一度聞いたら忘れないメロディーライン。たとえば他の楽曲で私がイメージするのは、嵐の『ワイルドアットハート』、なにわ男子『ダイヤモンドスマイル』、それから『チャンカパーナ』。
 
そのすべての要素が『トップガン』にはある。シングルでは久々のダンスナンバーであり、サビの「ダンダダダンダン」という謎のフレーズ、しかもそれが「合言葉は"ダンダダダンダン”!」と売り出し文句になっていたことはとてもジャニーズらしい。そして、何より覚えやすいメロディー。ブラスとギターが奏でるサウンドは、アイドルらしい疾走感とどんな聞き手にも嫌われない爽やかさを持っている。
 
そして、その「ジャニーズらしさ」こそが、Interludeでの増田さんの語りに繋がる部分である。NEWSは2012年の再始動時、シングルのA面にグループの物語と重なる応援歌である『フルスイング』ではなく、キャッチーな造語でよりパンチのある『チャンカパーナ』を選んだ。それはなによりも、NEWSの魅力である物語性を押し出す前に、グループのバックグラウンドに関係なく楽しめる歌と踊りのジャニーズ・エンタテイメントで勝負したいという想いがあったからだろう。そのジャニーズ・エンタテイメントで観客を魅せる、ということがおそらく増田さんの語る「責任」であり「愛」だ。だからこそ、『トップガン』の位置はアルバムのここでなくてはならない。
 
 
歌詞にも目を向けてみる。
 
「想いをひとつにして描くおとぎ話」
この 「おとぎ話」というワードは『エス』ともリンクする。
 
そしてなにより、「奪われたいと願った美しい人さ 君はトップガンというフレーズ。
Interludeで増田さんが語ったのは、「アイドルが愛をただ奪い取る、超リアルな熱…」という言葉だった。エス』も『トップガン』も同じく、「愛を奪い取る」歌だと考えれば、アイドルのファンである私たちは「奪われたいと願っ」てしまっている人間。つまり、私たちこそがこの曲における"トップガン"なのだ。
 
 
 
 
 
 

13.Prime Time of My Life -Interlude-

「最高の瞬間を共有したいひと…やっぱファンかなぁ」。
ここではじめてNEWSにとってのファンという存在について明言される。
 
自分の活動がもしかしたらファンの人生を変えるような影響を与えられているかもしれない、それが生きがいになるということ。ジャニーズを辞めたいと思ったときに踏み止まれたのもファンがいたからだということ。ファンがいるからこそ、ステージに立つ意味があるということ。
 
かつて出演した少年倶楽部プレミアムで、ジャニーズを辞めてロックに転向したいと思ったとき、自分を踏み止まらせるのは事務所でもメンバーでもなく”ファン"なのだ、と語っていた手越くん。「ジャニーズの、NEWSの手越祐也が好きだと言ってくれるファンの子がいるから辞めない」と言った彼の言葉にはここでも嘘がない。
 
そんな言葉に続くのは、STORYプロジェクトで募集したファンの声、エピソードをもとに制作された二曲である。
 
 
 
 
 
 

14.君の言葉に笑みを

ファンから募集した「わたしの夢」についての7秒のボイスメモを使用して制作された楽曲。イントロから語られるさまざまな夢に、NEWSの歌声が重なってゆく。
 
 
この曲の好きなところは、これだけ「夢」について語っているにもかかわらず、絶対に「夢は叶う」とは言わないところだ。なぜなら、後述する『NEW STORY』の冒頭にあるように、NEWSは何度も「夢に敗れ 夢にはぐれ」てきた人たちだから。努力は必ず報われるとか、夢は必ず叶うとか、夢や光に例えられるアイドルであればそんなメッセージを歌っても良さそうなものだが、NEWSは決してそれをしない。努力は報われるとは限らないが、決して無駄にはならない。成果が0か100かだとすれば、100に届かなくて結果夢が叶わなかったとしても、積み上げた80は必ず次の未来に繋がっていく。きっとそういう信念を持って、NEWSは「報われない日々はきっとない」「消えやしない夢の一歩を」と歌うのである。
 
 
 
今年、大学の卒業式が中止になった。訳あってモラトリアムを延長することにしていた私はこの春には卒業できないのだが、友人たちがせっかくだから袴で集まるというので、写真を撮りに行った。抜けるような青空。晴れやかな表情。こんな状況で不安も多いはずなのに、今この瞬間、この場所には希望しか存在しないように見えた。そんな門出の姿を見ながら、頭の中に流れてきたのがこの曲だった。
 
語り合った夢のどこかへ
忘れないで何があったとしたって
誓いあった僕らの絆
 
笑顔絶やさぬように
涙忘れぬように
行こう また次のStory
 
夢の形は人の数だけある。「○○になりたい」みたいな夢に限らず、叶えたい未来予想図は一人一人の中に必ず存在していて、それらはすべからく尊重されるべきものだ。この曲を聴いた当初は、すべての人の夢を肯定するなんて、NEWSは聖人君子か?なんて思っていたけれど、卒業という節目を迎え、まさにこれからかつての”未来"に飛び込んでいく友人たちを目の前にして私が抱いたのも、そんな感情だった。
 
私の祈りが届くなら、どうかみんなの未来が幸せなものでありますように。
ここに存在する無数の夢が、願いが、全部叶うといい。
君の未来に、君の言葉に笑みを。
 
「夢に描くまま 心でNEGAEVA…」とNEVERLAND、EPCOTIA、WORLDISTAの表題曲のフレーズが並ぶ歌詞に象徴されるように、この曲は間違いなくNEWSとファンの旅路を歌った曲なのだけれども、その日から私にとってこの曲は卒業ソングだ。
 
 
 
 
 
 

15.クローバー

『希望〜Yell〜』をもとに制作した、4人がリレー形式で歌う曲、という情報は得ていたが、まさかこんなアレンジだとは思わなかった。『クローバー』は四つの楽曲を『希望〜Yell〜』という楔で繋いだ、壮大な組曲だったのだ。
 
さらに言えば『希望〜Yell〜』だけではない。
 
増田さんのパートが始まった瞬間に、ふと香るように感じられたのは『Share』のピアノ。注意深く聞くと、それぞれのポエトリーラップの後ろにそれぞれ違う楽曲のエッセンスが含まれていることがわかる。増田さんパートは『Share』、加藤さんパートはサビ前の盛り上がりが印象的で『Smile Maker』。小山さんパートは『SNOW EXPRESS』で、原曲と同じ韻の踏み方をしている。手越くんパートで聞こえるピアノは『さくらガール』の進行に近い。そして、これらすべてが頭文字「S」で始まる楽曲である。つくづく細かい仕掛けが大好きな制作チームだ。
 
 
作曲も作詞も歌唱もNEWS。
曲を聞く前に歌詞カードを一目見ただけで、誰がどこを書いたかがわかってしまった。
ラップ調の歌詞に、おやつ代なんて言葉を出してくるのは増田さん。ラジオでお悩みメールといえば加藤さん。□♡△○の愛、とNEWSに言及してくるのは、NEWSが大好きな小山さん。言葉数少なく、歌に思いを載せてくるのが手越くん。
 
 
四葉のクローバーにはそれぞれ希望、誠実、愛情、幸運という意味があるが、この曲では、4人がそれぞれこの4つのメッセージを担当しているように思う。
この曲に当てはめるなら、「希望」の増田さん、「誠実」の加藤さん、「愛情」の小山さん、「幸運」の手越くん、という風になるだろう。
 
 
 
一番手の増田さんは「希望」だ。
 
「さぁここにおいで」
「優しい君が探してた場所が 僕らの愛したココだといいが」
このパートにおいて増田さんは、決して自分からは歩み寄らず、なにかを押し付けることをせず、  ただ居場所をつくってそこにいてくれる。それも、「君が探してた場所がここだといいが」ではない。「優しい君」「僕らの愛したココ」という修飾があることで、知らず知らずのうちに私たちは「優しい」と肯定され、此処は僕らも愛した場所だよ、とお墨付きをもらえる。自分の居場所、という希望。
 
「逃げる場所にしたっていい 辛くなるなら、聞かなくていい」
『クローバー』について、いじめのエピソードをもとに歌詞を書いた、と言っていた増田さん。辛いことから逃げることは決して悪いことではない、NEWSを、増田貴久を日常の逃げ場にしていい、それが辛くなるなら聞かなくていいーー。「逃げる」という選択を肯定し、またどんな状況にも複数の選択肢があるということを教えてくれる。聞かない、という選択だってしていい。道が閉ざされることはない、という希望。
 
「晴れたら北の汽車に乗ろう 東の空をもっと感じてよ
西、出会う、Dragonも 南に向かう君に僕からの Yell of hope」
北=NORTH=N=『NEVERLAND』のオープニング、汽車。
東=EAST=E=『EPCOTIA』での宇宙旅行=空。
西=WEST=W=『WORLDISTA』=ライブのシナリオの要となったドラゴン
そして、南=SOUTH=S=『STORY』に向かう今。
今日この瞬間まで、NEWSとともに旅をしてきた君=ファンへのエール、ということをライブ演出と絡めて歌ってくれる。『STORY』という先の未来を予感させてくれる希望。
 
 
 
二番手、加藤さんは「誠実」
 
「やりきれないことばっかりで どうして自分だけこんな目にって」
一貫して希望のエールを届けてくれるスタンスだった増田さんとは対照的に、ネガティブなワードから始まる加藤さんのパート。でもこれが加藤シゲアキという人の”誠実さ”なのだ。本人が決してポジティブではなく、辛く落ち込むような経験を数多くしてきたからこそ、人の痛みがわかる。そして、自分自身のやり場のない感情をきちんと言葉にして表現することで、「加藤さんも自分と同じような気持ちになることがあるんだ」と思わせてくれる。真摯に寄り添い、同じところまで一緒に沈んで、一緒に上がってくれるような、そんな誠実さ。
 
「わかるよ。でも僕になにかを伝えようとした時点であなたはきっと変わっている」
これは加藤さんからリスナーへのメッセージだろう。自身のラジオに届くおたより全てに目を通しているという加藤さん。つい先日の放送でも、著書の舞台化決定を祝うメールが多く来たたことを「800通くらい来たらしくて。全部読みましたよ」と嬉しそうに語った。そんな加藤さんのラジオには、悩みを打ち明けるようなメールも多く届く。しかし、決してそのすべてを取り上げられるわけではない。それでも加藤さんは読んでいる。取り上げられなくても、必ず読んでくれている。そんな私たちへの「わかるよ。」だ。加藤さんになにかを伝えようとした時点で、きっと一歩踏み出しているよと、すべてのリスナーを肯定してくれる。
 
 
「どんな夜だって超えられるから We’ll be together
見上げた先に光はある with you forever」
このフレーズから思い出されるのは、過去のNEWSの楽曲たちだ。加藤さんが執筆してドラマ化した『傘を持たない蟻たちは』の主題歌、『ヒカリノシズク』のワンフレーズにして、のちに文庫本のあとがきでも引用されていた「頼りない夜にひとつの光を点せたらいいのにな」。あるいはその2年後、『LPS』での「泣いたって笑ったって明日はやってくるから」。NEWSが一貫して届けてきたメッセージである。
 
それに続くWe’ll be together」はコーラスメインで、加藤さんは歌わない。歌うのは次の「with you forever」だ。つまりここはそのまま、前者が私たちのセリフ、後者が加藤さんのセリフ、と取れるのではないかと思う。加藤さんに「一緒にいようね」と言ってみたら、「ずっとそばにいるよ」と返ってきた。そんな粋なやりとり。
 
 
「希望を手放さないで  絶望に手を出さないで」
「絶望しないで」ではない。加藤さんは絶望とは「手が出てしまう」ものだと知っているんですね。そして希望も、握った手を開いたら飛んでいくような、簡単に手放してしまいうるものだと。もしかしたら、人はなにもかも諦めて絶望するほうが簡単なのかもしれない。諦めずに光明を探し続けるより、頑張ることをやめてしまう方がずっとずっと簡単なのだろう。でもそれをしないで、と諭すように加藤さんが言うのだから、そうするわけにはいかない。
 
自分のソロでは巧みに言葉を操り、比喩を重ねて解釈に委ねるような歌をつくる加藤さんが、これだけまっすぐな飾らない言葉で訴える。そこに「すべての人にこの気持ちを伝えたい」という強い意志を感じずにはいられない。
 
 
 
 
三番手、「愛情」の小山さん。
 
「近くにあるよ いるよ 気付いてよ」
「いつでも君の心にいたい」
NEWSの中で、誰よりも頻繁に会員制ブログを更新してくれる小山さん。それはつまり、日常や仕事の中で絶えず「これブログにあげよう、ファンの子に見せよう」と思って自撮りをしたり、文章を考えたりしている小山さんの中に常にファンの存在があるということだ。以前、パンツを買いにいったら紫、緑、黄、ピンクのカラーバリエーションがあって、思わず「NEWSだ!」と思ったという話をどこかで小山さんがしていた。メンバーカラーの四色が並んでいるなにかを見るだけでNEWSを想起する私たちと同じような発想が小山さんにはあって、さらにはそれを見て「ファンの子がいたら買うかな」などと考えてもくれるのかもしれない。そんな、本当にいつもNEWSと、私たちのことを考えている小山さんからの「近くにあるよ いるよ」そして「いつでも君の心にいたい」は、凄まじい説得力を持つ。
 
「みんなの優しさに触れて 感じる温もりがここにある
子供のころの自分に これが愛って伝えたいんだ」
子供のころの小山さんのエピソードを、私はほとんど知らない。かろうじて知っているエピソードは、幼少期の両親の離婚という、決して明るくない出来事。その小山さんが「子供のころの自分に これが愛って伝えたい」と歌う。小山さんにとっての愛、それはInterludeでも語られているような「双方向の愛情」だ。それを感じさせてくれた、ファンとのコミュニケーション。もし、小さい小山さんがジャニーズの道を選ばずに生きていたら、「これが愛」って伝えたくなるような瞬間には出会わなかったかもしれない—そう考えると、私たちが経験している「人生が変わるような感動」は、アイドルの側にも存在するのだと感慨深い気持ちになる。
 
 
 
そして、アンカーは「幸運」の手越くん。
 
「あの日 僕ら偶然出会い まぶしい 毎日がはじまり
ひとり僕じゃ全然できない事ばかりだったけど」
出会えた偶然を歌うところからはじまる手越くんパート。その後にはずっと出会えた「君」が幸せを運んでくれたことへの感謝が綴られる。NEWSに、あるいは手越くんが自分のファンに、出会えたという幸運。
 
印象的だったのはその後の「ひとり〜」のフレーズだ。今の堂々と立つ手越くんを見ていて、この歌詞が出てくるというのは意外だった。「あの日」がいつを指すのかはわからないが、私が想像したのはデビュー当時の手越くんだ。入所間も無くのメジャーデビュー、CDジャケットの「欠席した人みたいな立ち位置」。手越くんはずっと、なにもできない無力感を抱えていて、当時のそれを今でも忘れていないのかもしれない。
 
それでも今の手越くんは、きっと笑顔で「君がいるから幸せ」と歌う。Interludeで語ってくれたような、ファンの存在に対する揺るぎない信頼が今の手越くんにはある。そして私たちに「感謝」と歌い、「君に幸あれ」と祝福するのだ。そんな『希望〜Yell〜』のサビ終わりの歌詞に合わせ、繋いだバトンを同じ曲に綺麗に返したところで曲は終わる。
 
 
 
 
 
この四者四様のエールのうち、どれがその人に一番響くかというのは、(状況によって都度変わりうるが)NEWSのどんなところが好きか、みたいなものも大きく影響してくるように思う。
 
 
 
そして私に一番刺さったのは、やはり加藤さんパートだった。
 
最初に歌詞カードを見たとき、率直に「わたしの話が書いてある」、と思った。なんでわかったんだろう?と思った。加藤さんのラジオを聞いていて、他の人のおたよりに対するコメントに心救われ、大切に何度も何度も反芻してきたこと。幾度となく加藤さんの「わかるよ。」に救われ、思わず涙を流すような経験をしていること。
 
私には、なにか書き残しておきたいことがあったときに開くノートがある。もちろんその中には加藤さんからもらった言葉が多くある。中でも印象的だったのは、ラジオで「好きなことを始めたいけど親に止められる」みたいな悩みに答えた回だった。

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「作家が天職なんてことはない。
でも書くことを好きになれたことだけは才能だと思ってる。
好きなものが多くあるのも才能だし、
やりたいことをやれているのは運でもあるけど、
それも運という才能だったと思うんだよね。
好きなことをやって満たされる以上の幸せがあるのかな?
心を満たしてくれるものというか、
それ以上の幸福はないだろうと僕は思いますけどね」
 
 
多分人より好奇心が強い私は、これまで趣味でもなんでも、いろんなことに興味を持ってハマってきた。けれどその裏には「なにかこれ!っていう才能を見つけたい」という願望があって、なにをやっても結局は器用貧乏だな、というコンプレックスも消えなかった。それを、ものの数分で加藤さんは消したのだ。「好きなことがあることが才能」という言葉ひとつで、わたしのコンプレックスは綺麗さっぱり消え、自分の中にあったなにかがものすごく救われて、気づいたら泣いていた。当時の言葉を借りるなら、「自分というパーソナリティを全肯定されたような気がした」のだ。それからは好奇心強め、という自分の性格を「自担と一緒〜!」くらい前向きに捉えるようになった。アイドルの言葉一つで、人生が変わると言うことも、いつもの景色が違って見えるということも、本当にあるのだ。
 
 
 
 

 クローバーを聞いたときの気持ちは、冗談ではなくこの通りだった。一曲通して聞き終えた後も、加藤さんからもらった言葉が、一際残響のように心にこだましていて、加藤さんが目の前で自分の両手を握って「ずっと一緒にいるから」と言ってくれている気がしている。「希望を手放さないで」「絶望に手を出さないで」「僕らの手を握っていて」「そのぬくもりを忘れないで」。それは私にとって、加藤さんとの新しい約束になった。

 
加藤さんの言葉を書き留めたノートが大切であるように、これからこの曲も私にとって、ふとしたときに取り出して眺めたくなるようなお守りになるのだろうと思う。
 
もらったクローバーを押し花にして、私自身の物語ーーSTORYの栞にするように。
 
 
 
 
 
 

16.NEW STORY

『STORY』の最後を飾るフィナーレ。
しかしその歌い出しは決して明るいものではない。
 
「何度夢に敗れ 夢にはぐれここまで来ただろう」
ここまで、ファンの「夢」を組み込んだ曲もあった。それを応援するような曲もあった。しかしNEWSは夢に敗れ、夢にはぐれる。なぜならそれがNEWSの「リアル」だからだ。決していいことばかりではない道を歩き、ファンやメンバーやさまざまな存在と支え合いながら、生かし、生かされ、生きていく。生きていく限り、そこにはSTORYが生まれる。そしてそれは私たちにも言えることで、「生きていく一度きりの物語が君のSTORY」だとNEWSは歌うのだ。どこまでも誠実であり、謙虚であり、ときに泥臭く、決して諦めない強さを持っている4人。ここまでのアルバムで語られてきた言葉、NEWSの姿勢が、すべて詰まった歌詞だと思う。
 
 
そして、心にまっすぐ届く、飾り気のない長調のメロディー。
音楽に詳しくないので明言できないが、この曲を聴いて「どこかで聞き覚えがある」と感じるのはこのコード進行にも起因しているように感じる。サビ頭の「何度」はKing&Prince『シンデレラガール』の「君は」と同じ音。また、Bメロからサビのトラックの盛り上げ方、音の入り方は『トップガン』とよく似ている。つまり「ド」がつくメジャーなアレンジ。こういう音であることが、ポジティブ100%ではない歌詞にも関わらず、明るい未来を予感させるようなナンバーに仕上がっている所以ではないかと思う。
 
 
ここで言及したいのは大サビの「人に言えないこと 言わないこと 胸にあるだろう」という歌詞だ。
 
そう、思い出されるのは一曲目、『STORY』の冒頭である。
 
「胸に抱えたSTORY 誰にも言えずに 行き場所なくしても」
 
タイトルは言わずもがなだが、この歌詞、そして編曲にストリングスが多用されているのも『STORY』と『NEW STORY』の大きな共通点。
 
つまり、このアルバム(ソロを除く初回盤の構成)は『STORY』と『NEW STORY』で円環を成すようにできているのではないか。

f:id:bagle00:20200329184120j:plain 『NEW STORY』まで行って、『STORY』に回帰する。

 
円は始点と終点がない、「永遠」を象徴するモチーフである。
私はどうしてもこの繋がりに一つの隠されたメッセージを感じてしまう。
 
『STORY』には終わりがないーーー”物語は終わらない”
 
 
 
アイドルとは終わらない物語である、と私は常々思っている。起承転結の「承」と「転」を永遠に繰り返して、日々更新されていく物語。だからこそどんなシリーズものの漫画のように次が見たいと思うし、次の展開を見るために自分も貢献したいと思う。そんな物語性こそがアイドルの魅力で、その物語が極めてドラマティックなのがNEWSというグループなのだとすれば、「物語は終わらない」とは、まさにNEWSの未来に対する「願い」のようなメッセージだ。
 
 
 
 
 
 

17.戀

『weeeek』『U R not alone』など数々のヒットナンバーを提供してくださった、GReeeeNからの楽曲提供。2019-2020のドームツアー『EPCOTIA ENCORE』で、3曲目にも関わらず『U R not alone』で涙を流していた増田さんが記憶に新しい中、再びGReeeeNからの楽曲提供ということにはまたひとつストーリーを感じてしまう。
 
今回に限って拡散OKとのことなので、ファンブログのスクショを引用する。

HIDEさんが「戀」について
語ってくれています💛#STORY #NEWS #増田貴久 #戀#GReeeeN #HIDE pic.twitter.com/U4HOgTQySt

— たまこ♪Ⓜ️STORY🍀戀 (@tmk_mass) 2020年3月3日

 

なぜだろう、このブログを見て、私はかなり反省した。
 
 
 
私にとって増田さんは最も遠いメンバーだった。
 
赤裸々なエッセイを書く加藤さんやいつでもありのままの手越祐也でいる手越くん、意見を求められれば常に自分自身の言葉で語ってくれる小山さんと比較して、いつでも「みんなのアイドルまっすー」で在り続ける増田さんは、「素の増田貴久」をほとんど覗かせてくれない(もちろん、他のメンバーの「見せてくれる素」はあくまでも「見せてくれる素」だという前提は揺るがない)。だから、常に笑顔でキャラクターを作っている増田さんを見ると、疲れないのかなぁとか、今何を考えているんだろうなぁと思ってしまう。自分との共通項も少なく、底が見えない。わからないから難しい。難しいから触れないでおこうと感じてしまう。そのために、私自身、Twitterなどで増田さんに言及することが少なかった。
 
しかしながら、増田さんも当たり前に”人間”なのだ。ステージという場所に、アイドルという職業に、並々ならぬこだわりを持った一人の人間。私は増田さんという人間に対して、きっとどこかで"想像すること"を放棄してしまっていた。それをハッと気づかされたのが、「ライブが終われば増田さんだって帰宅の途につく」というこの一文だった。
 
 
 
曲は海を想起させる鴎の鳴き声と、月の光のようなシンセから始まる。
 
「なんでもない僕から どうやらなんでもなくない君へ」
世間一般から見て、これといって特別ななにかがあるわけでもないありふれた人間の僕。でも、そんな僕にとって君は「特別」であるということに気づいてしまった。恋心に気づいてしまったんですね。友人に「〇〇のこと好きなの?」って聞かれて反射で「いや別になんとも思ってないよ」って言ってしまうように、自分の中で自問自答を繰り返した結果の「どうやらなんでもなくないな…」なのかもしれない。
 
「月が綺麗な夜だから」はお馴染みの夏目漱石の逸話から。「いとしいとしというこころ」、恋心が胸を締め付ける理由にしているようでいて、それすらも「I Love you」の意味を持つのだから皮肉だ。
 
最後のサビではメロディーが変化して、普段NEWSでは手越くんに任されることが多いような音域を増田さんが歌っている。ライブでこのキーを一生懸命に出す増田さんの姿が目に浮かぶようで、その必死さが、「明日も逢いたい」と募りに募った恋心とリンクして、また胸に響く。ファルセットじゃないことによって「なんでもなくない」「逢いたい」が強く発語されていて、それが「僕」にとって本当に重要なことなのだとわかる。歌ってすごい。
 
 
さて、この曲はソロ一番手、通常盤では『NEW STORY』の次に収録されているが、この構成は本当に絶妙である。ライブで確実に最後に披露されるであろう『NEW STORY』の直後に収録されていることによって、私たちもまさに「ライブ終演後」のような気分でこの曲を聞くことになり、「ライブ後、一人家路につく増田さん」という世界観にすんなりと入ることができるからだ。『STORY』は本当に、今まで以上に計算し尽くされたアルバムだと思う。
 
また、「from NEWS to ファン」の色が強いこの『STORY』というアルバムで、唯一増田さんだけがソロの作詞作曲に携わっていない。しかしその事実がまた、「他の人が思い描く増田貴久こそが増田貴久らしさである」という彼のアイドルとしての矜持を強く感じさせるように思う。
 
 
 
 
 
 

18.Narrative

加藤さんが語る「シゲシゲしさ」というのは、言い換えれば比喩に比喩を重ねた「言葉の武装なのではないかと思う。巧みに言葉を操り、見せたいものを隠喩でもっと綺麗に見せたり、ぼかしたりする。『クローバー』の歌詞とは対照的なその芸が凝縮されているのがこの『Narrative』だ。この曲については別記事にしようかとすら思ったが、せっかくなので書いていこうと思う。
 
 
 
 
私はこの曲を、いわゆる「執筆」についての歌だと思っている。
 
 
 
「白雪の上 羽ばたく残像
ヤドリギの夢 どこまでも遠く」
冒頭から最初の「Narrative」までは、白い紙にペンで文字を書いていくという執筆の象徴的なワンシーンを、さまざまな角度から情景描写していると考える。「白雪の上」、は真っ白な紙のこと。「羽ばたく残像」は、まだ言葉を与えられていない、輪郭の曖昧なイメージやインスピレーションのことではないか。ヤドリギは「寄生木」という名の通り大木に寄生して緑の玉のような見た目に生長する半寄生植物。真冬でも枯れない常緑樹であることから縁起がよいとされ、古来からケルト神話、クリスマスの逸話など伝説に多く登場してきた。ここでは白雪の上、という舞台設定があることから、一面の銀世界の中で唯一色を持った緑のヤドリギ、という風景を想像した。それはつまりまだ何も描けていない物語を紡ぐ上での手がかりになる「色」だ。綴ろうとするものの概略図、それはまだ遠く、見えない。
 
 
「漂う砂 拾い集めて…」
ここからは、綴る、という行為がいかに繊細な営みであるかが語られる。水面の上に漂う砂を拾い集める。そのきらめきに糸を通して紡いでいくような、途方もない作業。それでも手を動かし、インクを滴らせて書き進めていく。そこに「言葉」は舞い踊る。
 
Narrative——のリフレインのあと、楽曲はピッチを落とし、一段深いところに潜っていくような展開を見せる。ここからは、執筆する加藤さんの視界の風景ではなく、その加藤さんの心の声が描かれる。
 
 
「委ねた隙間に 生まれたStory
不意に閃き 突然変異に恋し」
ここはNEWSファンの「考察」のことを歌っているのだろう。この曲のように加藤節が炸裂していた『NEVERLAND』でのソロ・『あやめ』の解釈が盛り上がったためか、事実加藤さんは『EPCOTIA』あたりからソロに関してもアルバムの世界観に関しても「みなさん自由に想像してください」と解釈を受け手に委ねてくるようになった。その解釈の中には、作り手の思惑とは違うものも多くあっただろう。しかしそれを加藤さんは面白い、と思ってくれた。予想だにしなかったStoryに、突然変異に恋した。
 
「「あなたの風になりたい」」
女声のコーラスが重なる、鍵かっこつきのフレーズ。紛れもない私たちファンの台詞である。一つの楽曲に対していろんな考察を重ねることも、いろんな感想をツイートすることも、すべてはNEWSに風を送りたいがためだということが、加藤さんにも届いていた。
 
「予定調和じゃwack like デウス・エクス・マキナ
デウス・エクス・マキナ、「機械仕掛けの神」。古代ギリシャの演劇で頻繁に用いられた、物語が錯綜したときに超越的存在の神が現れて場を収束させるという手法である。つまりどんなに内容がとっ散らかったとしても無理やり解決させることができる夢オチのような演出だ。そんな予定調和じゃつまらない、と加藤さんは前述の解釈による突然変異を肯定する。
 
「奏でる熱狂 列島絶叫 反動禅問答」
これはNEWSのライブツアーのことを指していると見てよいだろう。日本中で熱狂を生み出していく、コンサートで何万人からの歓声を浴びる、それに反比例して加藤さんの中では前作『世界』のような思考が繰り広げられる。この一つ前の「Yea Ima Liar  Where is sense of wonder ?」(とはいえ僕は嘘つきだ 感性はどこにある?)はこっちにかかっていると見てよいかもしれない。もしかしたら加藤さんにとってアイドルであることが当たり前になっていく中で、ライブ一公演で味わう感動も薄れていって、毎回新鮮に感動できた気持ちはいったいどこにいったのか?と自問自答する禅問答…という意味にとれなくもない。
 
「重ねた日々がほら 明かりを灯していく
施す手を痛めてもなお めくるめく運命」
アイドルとしても、小説家としても、続けてきたキャリアは必ず次の未来を切り開いてくれる。今春、短編集が戯曲になって脚本家デビューも果たした加藤さんによる確かな実感。その一方で、私たちにエンターテイメントを与えてくれる加藤さんは施しの手を痛めている。年末にラジオで語った「キャパオーバー」みたいな状態もそうかもしれないし、それ以外に辛いことも多々あっただろう。しかしそれでも加藤さんは、アイドルの魅力に取り憑かれて施しを続ける。ここで思い出すのは、フジテレビの連続ドキュメンタリー『RIDE ON TIME』特集回の最後で加藤さんが言い放ったあの台詞だ。「アイドルやれる人って狂ってるよね」。それもまた、加藤さんの実感なのだろう。
 
 
「白雪の上 羽ばたく残像
降り積もる黒滲む 混ざり合うライン」
ここで、冒頭のフレーズに戻ってくる。しかし歌い出しとは異なり、今は真っ白だった紙の上に黒=綴った文章が降り積もっている。混ざり合うライン、というのも文字のことだろう。線の交わりで意味をなす不思議な記号。
 
「もてあます衝動 語り尽くせる者
「未完成の声届けて ページを開いていく」
これを書きたい、という衝動に形を与えられるのは己しかいない。だからこそ「その目で見たものをひたすらにとき放て」と自らを鼓舞する。届けるのが「未完成の声」なのは、読み手が読んで初めて完成するものだから、ということかもしれないし、綴り方に完璧な正解、完成なんてないからかもしれない。なにかを生み出すとき、完成した瞬間に「もっとこうできたな」という反省が生まれて、それが次をつくるモチベーションになるということがしばしばある。だから完成品すら、自分にとっては永遠に「未完成」で、だからこそ生み出し「続ける」ことができる。加藤さんは語り続けるのだ。
 
 
 
Narrativeとは、「おとぎ話」のイメージが強い「Story」に対して、「自分語り」のようなニュアンスを持つワードである。であれば、『Narrative』というこの曲は間違いなく「物を書く」ということ、そして加藤シゲアキという人についての「ものがたり」なのだろう。ドキっとするようなワードも多かったけれど、その物語の中に「風になりたい」ファンという自分が登場したことが、私はちょっと嬉しかった。
 
 
 
 
 
 

19.STAY ALIVE

前作のソロ『Going that way』、EPCOTIA ENCOREで披露した『DANCIN’ TO ME』に引き続きゴリゴリのEDM。小山さんはすっかりEDMを自分のものにしたんだなと思った。増田さんはダンスチューンを歌っていた頃もあったが、最近は歌やRAPに主軸を置くことが多いし、加藤さんは作詞作曲が持ち味で、実のところ今のNEWSにソロでEDMをやれる人、似合う人は小山さんしかいない。抜群のスタイルを生かしたダンスに、ライブ中誰よりも言葉で観客のボルテージを上げてくれる煽り、ジャニーズJr.とのコミュニケーションなど、ライブにおける「小山慶一郎」の魅力を存分に発揮できるのがこういうアップテンポな楽曲であるというのも事実だ。
 
今作は特にHardwellみたいなエモーショナルさもあるEDMに寄せているように感じるサウンドで、STORYのライブ中、この2分40秒だけ会場がULTRA JAPANになるんじゃないか、というくらいにはダンスミュージックの要素が強い。小山さんはライブでいつも「嫌なこと忘れに来たんだろーー!!」と言うけれど、私たちになにもかも忘れて盛り上がってもらうために小山さんが用意した時間が、彼流のParty Rock Anthemであるこのソロなのかもしれない。
 
一方で、今作は小山さんが作詞に名を連ねているということも忘れてはならない。
「I was alone」「孤独の最果て」「出口のない winding road、並ぶ言葉は決してポジティブなものばかりではない。
 
しかし、そんな孤独や挫折を感じさせる言葉に続くのは、このアルバムで一貫して語られてきたような、ファンへの想いだ。
 
「あなたのヒカリになりたい」
「それでもあなたの声の呼ぶ方へ」
「共に寄り添って前に進みたい」
「Everytime you are staying with me」…。
 
 
NEWSが特集されたフジテレビの連続ドキュメンタリー『RIDE ON TIME』。小山さんの活動自粛から15周年ライブまでの道のりを追った第1回のタイトルは”still alive”、カウントダウンライブEPCOTIA ENCOREの様子を映した第3回のタイトルは"stay gold"だった。第3回の最後でコメントを求められた終演直後の加藤さんと小山さんは「アイドルやれる人って狂ってるよね、」と笑い、それでも続けますか?という質問に間髪入れず「もちろん」と答える。
 
その不敵な笑みを見たとき、私は心の底から嬉しかった。普通に生きていたら経験するはずのない誹謗も中傷も受けて、死ぬほど辛い思いをたくさんしてきたはずなのに、これからもアイドルでいると言い切ってくれたことが救いだった。大好きな人たちが仕事にそう言い切れるだけのやりがいを感じられているのだということ、私がこれからもアイドルの彼等を応援していいのだと思えたことが幸せだった。
 
第1回と第3回のタイトルを掛け合わせたようなこの『STAY ALIVE』は、あのときの小山さんの「もちろん」に値するメッセージだと私は思う。決して明るいことばかりではないこの道を進み続ける。なにがあっても、”アイドル"として生き続ける。そんな「闇夜も I stay alive」という約束だと。
 
 
 
 
 

20.プロポーズ

真っ白なチャペルに青い空、どこからか降ってくる白い羽根、鐘を鳴らして飛び立っていく白い鳩………。プロポーズどうこうをすっ飛ばして挙式の風景が脳裏に広がるような、多幸感に満ちた一曲。雑誌で「いつも失恋の曲が多いから、ファンの子に自分のハッピーになってもらえる歌をつくろうと思って『プロポーズ』にした」と語っていた手越くん。つまり、この曲は最初からファンに自分視点で受け取ってもらうために作られているのだからすごい。誰がなんと言おうとその聞き方が”正解"なのだ。
 
その点においてこの曲が優秀なのは「具体的なエピソードが何も歌われない」というところである。いわゆる結婚ソング界の中で、Official髭男dismですら初めて喧嘩した夜の涙について言及しているし、ブルーノ・マーズなんてテキーラ飲んで近くの教会に行ってるのに、この曲は大部分が「雨の日も風の日も」…みたいなプロポーズのメッセージになっていて、「あの日公園で…」のようなそこに至るまでの経緯はほとんど描かれない。
 
かろうじてそれらしい「出会ったあの日 何も僕は出来なかった」という歌詞も、(ここでは単純に相手に出会った日、という文脈だと思うが)『クローバー』の手越くんパート「あの日 僕ら偶然出会い 〜 ひとり僕じゃ全然できないことばかりだったけど」とリンクし、アイドルの手越祐也と『プロポーズ』を歌う手越くんとをシンクロさせる。
 
あるいは「『もう、大丈夫、味方だよ』その一言で〜」もエピソードのような部分だが、これもコンサートのうちわでしばしば見かける文言(ex.「ずっとNEWSの味方」)であり、「アイドルの手越祐也」から決して人格をブレさせない
 
 
聞き手の知らない具体的なエピソードがないからこそ、私たちはその過程を自由に想像で埋めることができ、どこまでも「アイドルの手越くんと私」の文脈でこのハッピーエンドを体験することができる。『プロポーズ』はもはや「推しと結婚する」という夢女の願望を叶えた究極の一曲と言っても過言ではない。
 
 
雑誌では「テーマをプロポーズにしたのはいいものの、プロポーズしたことないからイメージするのが大変!」とも語っていた手越くん。
パブリックイメージの手越くんはプロポーズどころかいろんな順番を間違えてデキ婚しそうなタイプに見えているのかもしれないが、私たちの知る無邪気でロマンチストな手越くんが想像したプロポーズは結果「お願い ずっと一緒にいてください」「これからもどうぞよろしくね 僕を」という超謙虚な”お願い"であり、告白のセリフは「僕と付き合ってください!」なのである。いかに他と被らない歌をつくるか、というのが重視されつつあるような昨今のJ-POP界において、ここまでど直球な言葉を並べた歌をつくるのは正直手越くんぐらいではないかと思う。エピソードも含めて、あまりにも愛おしい。
 
 
 
そして、この曲がソロの一番最後、通常盤の締めであることも重要な意味を持つと私は思う。この曲を聴いたあとの圧倒的多幸感、そして、プロポーズを通して伝えられる「そばにいるよ」という宣誓これこそが『STORY』を通してNEWSが届けたかったものに近いと思えるからだ。涙でもエモでも興奮でもない、染み渡るようなあたたかい「幸福」。そんな後味を遺せるからこそ、この4曲の中で、『プロポーズ』が一番このアルバムの最後にふさわしかった。
 
さらに言えば、『NEW STORY』の項で述べたような『STORY』への回帰がこの曲でも成功する。一曲を通して響き続けるクラシカルなストリングスの音色と鐘の音。鐘と言えば…は少しこじつけだが、『STORY』のサビでは繰り返し「Ring a Ding Dong」と歌われてもいる。アルバム名に合わせたと思われるCメロ「2人でつくるSTORY」の「STORY」は歌詞中唯一出てくる英単語だ。いずれにしろ、背表紙を閉じるような余韻とともに終わる『プロポーズ』は、また光が射すようなストリングスの音から始まる『STORY』のイントロへと導いてくれるのだ。初回限定盤だけでなく、通常盤でソロまで聞いた状態でも、また自然に一ページ目を開けるような構成の妙。通常盤をお持ちの方は、ぜひSTORYをくり返して聴いてほしい。
 
 
  
 
 
 
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おわりに

 

私は今回、『STORY PROJECT』と題して開催されたファン参加型企画に、どちらかといえば拒否反応を示していた。負けず嫌いが祟って結局企画には応募しなかったし、ラジオでファンの声が使われた曲を聞いた際には正直「口に合わない」と思ってしまった。
 
しかし、STORYを聞き終えた今は、ファンの存在をより強固に感じてアルバムのメッセージに落とし込むため、そしてファンの気持ちに寄り添うためのエビデンスとしてあの音声やエピソードが必要だったのだろうと思う。
 
 
 
STORYプロジェクトで音声の募集がはじまったとき、私のタイムラインでは「将来の夢なんて、NEWSと叶えたいこと以外ない」という呟きが散見された。「五大ドームツアーがしたい」とか「紅白に出てほしい」とか、NEWSの成功こそが自分の夢だと。
 
きっとそれでよかったのだ。自分の将来の夢はもちろんのこと、NEWSと叶えたい、という文脈での「夢」も彼等が求めていたメッセージのひとつなのだと、初回限定盤特典の映像を見て確信した。『STORY RADIO』で4人それぞれに向けて「結婚したい!」みたいなメッセージを聞くNEWSの笑顔は、どこまでも幸せそうだったから。
 
 
FC会員数38万人。
売り上げ12万枚。
途方もない数字だ。途方もなさすぎて、そこに個人の姿は見えない。
 
 
私はコンサートに行くたびに「NEWSのファンってこんなにいるんだ」と驚く。失礼かもしれないけれど、普段は狭いインターネットの世界で数百人程度のファンしか見えていないから、いざ同じ場所に集った何万という人々がみんな自分と同じものを好きなのだと思うと、毎回新鮮に感動してしまう。
 
 
きっとNEWSにとってもそうなのだ。
大きすぎる数字ではなく、街でツアーグッズを身につけている人を見たときや、コンサート会場でファンに囲まれているときこそが彼等が最もファンの存在を実感できる瞬間で、だから彼等はロゴや、声や、エピソードを通して、自分たちのそばにいてくれるファンの存在を感じようとしたのだと思う。『STORY RADIO』で山と積まれたファンから届いたエピソードを愛おしそうに撫でる手越くんの姿がそれを物語っていた。言うなれば、ファンの「見える化」である。より強くファンの存在を感じることで、ファンに向けた曲に説得力を持たせたかったのだと思う。
 
 
そして同時に、募集したエピソードからファンが自分たちに対してどのような思いを抱いているか、自分たちがどんな価値を与えられているかを真摯に汲み取って、『クローバー』のような曲に落とし込んだ。彼等の憶測ではなく、ファンの具体的なエピソードに基づいて応援歌を作った。その誠実さはなんともNEWSらしい。
 
 
 
 
 
 
NEWSの魅力を聞かれたとき、私は「人間であるところ」と答える。
ときに躓き、湿っぽく涙し、やりがいなくしては働けない、意思を持った人間。だからこそ私は彼等に自分を重ねられるし、強く感情移入できるし、心から惚れ込めるし、必死になれる。
 
 
 
 
「人」という字は人と人が支え合って…とは、日本人なら一度はどこかで聞かされたであろう金八先生の言。
 
 
支え合って生きていくこと。
そばにいること。
愛し合うこと。
 
 
 
それは、隣り合う誰かに限らず、真に互いを知らない「アイドル」と「ファン」という関係値においても可能なのだということを、NEWSは証明する。
 
 
 
 
 
 

 

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*1:10周年の作詞曲『愛言葉』から

本気の『STORY』セットリスト大予想

こんばんは!
 
一向にライナーノーツを書き終わる気配がありません、マチュアセトリ研究家のべーぐるです。
 
 
実は私、NEWS担としての趣味(?)のひとつが真剣にセトリを予想することなのです。過去にはEPCOTIAのアリーナツアーで曲の順番を数カ所、『メガロマニア』や『NYARO』のセトリ入りを予言した実績があります(えっへん)。

 

今までは脳内でひとり会議を行なっていたのですが、今年度は特別ゲストにしょうりんちゃん(@shorin_soccer11)をお迎えし、本日願望と妄想のセトリ大予想会を開催いたしました!
 
以下、そんな『STORY』セットリスト大考察会議の模様と結果をご紹介します。

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1.考察フロー 

①楽曲数・規模の決定
NEVERLAND、EPCOTIA、WORLDISTAのセットリストを参考に、全体の楽曲数を概算します。NEWSの場合アリーナでは30~32曲、ドームでは+4~5曲がスタンダードなのでそこに設定。セットも一番シンプルなメンステ+センステ+直線の花道を想定します。
 
 
②ブロック分け
今作『STORY』はそのテーマ故にどんな演出・構成が来てもおかしくないと思いますが、アルバムではInterludeでの語りの後にその言葉とリンクするような曲が来ていてとても構成が綺麗なこと、アルバムベースでこその「アルバム・プロジェクト」であることを踏まえて、アルバムの構成にならってセトリを考えることにします。
 
今回はまず、アルバム『STORY』がInterludeによって5つのグループに分かれていると考え、それぞれのパートのテーマに沿ってメンバーのソロも振り分けました。

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アルバム曲のタイプ別分類

疑問点は「そもそもライブでもこのInterludeを使うのだろうか?」だったのですが、ラジオと銘打った『NEWS STORY RADIO』が映像特典であるのと同様に、ライブでもInterludeの映像版+αのVTRによって章立てされる可能性が高いと考えました。
 
 
 
③曲出し
セットリスト入りしそうな曲を片っ端からあげていく作業です。
 
今回の場合は、
・頭文字「S」の曲(例:『Smile Maker』『SNOW EXPRESS』)
・NEWSのSTORYを象徴する曲(例:『Share』『U R not alone』)
・アルバム曲と相性がよさそうな曲(例:『SEVEN』と『4+FAN』など)
これらをそれぞれ書き出し、リスト化、先ほどのブロックに振り分けるかたちでグルーピングしていきます。
 
 
 
④構成
先ほどのブロックを前後半に分け、それぞれ曲を考えていきます。
衣装は割と柔軟に対応できるので、考えるべきは移動とソロのタイミングです。
NEWSのコンサートでは、ソロは前半:後半=2:2、あるいは前半:後半=3:1であることが多く、3人以上連続でやることはありません(ENCOREを除く)。後半の場合はMC明けなど早い段階で組まれることが多く(終盤はフィナーレとして盛り上げ曲などが入るため)、最近のツアーでは36曲中26曲目の披露だったNEVERLANDの『I’m coming』が最も遅いタイミングでのソロでした。そのデータを参考に、全体の70%に到達するまでには全員ソロをやり終えるようにセトリを組んでいきます。
 
また、今回は「STORY」ということでかなり歌詞に重きがおかれているアルバムだと感じたので、歌詞の繋がりなどをかなり重視しています
 
 
 
 
 

2.予想セトリ解説

上記の流れで、今回編み出した妄想セトリがこちらです!どん!

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STORY 予想セットリスト

 

以下、ポイントごとに解説をしていきます。
 
 
01 STORY
2月26日のKちゃんNEWSで「最初STORYじゃない」という発言があったことを受けて構成しました。
 
『STORY』以外のオープニングなんて……
 
『NEVERLAND』、『EPCOTIA』、『WORLDISTA』のマッシュアップしか考えられないじゃん……………………………………。
 
とはいえ『STORY』のあの劇的なサウンドをオープニングに使わないのはもったいない。そこで我々は気づきました。
 
「『STORY』をあの2分のイントロと歌パートに分けてしまえばいいのでは…?」
 
考えてみれば、『STORY』のイントロはファンタジックでまるでNEVERLANDのようだし、歌パートは意外とデジタルなサウンドが使われていてWORLDISTAとの相性がいい。最初からそう仕組まれていたのではないかとさえ思えてきます。つまり、オープニングは『STORY』イントロ(ここで3部作のダイジェスト映像が流れる)→『NEVERLAND』→『EPCOTIA』→『WORLDISTA』→『STORY』のメドレーだと予想します!
 
勝った勝った、これは勝ち芸だぁ!
 
 
 
 
02 SEVEN〜weeeek
アルバムでも『STORY』の後、意図的に間隔が短く構成されていることから、この曲はWORLDISTAでの『DEAD END』同様2曲目に来るに違いないと判断しました。
 
問題は次の『SUPERSTAR』。アルバムではInterlude前でひとくくりになっていて、かつストリングスが多用されていたりとまとまりもよいのですが、ライブで『SEVEN』で盛り上がった後に、”魅せる”『SUPERSTAR』が来てしまうのはテンション的にもったいないような気も。そこで、思い切って『SUPERSTAR』を外し、盛り上げ曲を並べました。
 
ちなみに、『4+FAN』はもちろん『SEVEN』の「4+7」、『weeeek』は「月火水木金土」とリンクしています。『SEVEN COLORS』は「rainbow 空は7色」とかけていますが、言わずもがなですね。
 
 
 
05 SEVEN COLORS
セブカラがセトリ入りした理由
夢に見たから。

前の曲からの流れとしては、この曲でメンステに戻ってきて演出付きでパフォーマンス、という展開をイメージしています。
マジで正夢になったらどうしよう……。
 
 
 
06 何度でも
Interludeでの加藤さんの語りとかなり関連性が強い曲なので、ここはアルバム同様VTR明けに置きました。このサウンドとの親和性を考えつつ、メンバーの変遷、NEWSの諦めなかった歴史を辿れるようなセトリにしようと思い6人曲の『Share』、4人でのスタートを象徴する『フルスイング』、4人体制の第二章のように思える『U R not alone』を順に構成
本当にこんな構成だったら序盤から涙でメイクが全部落ちちゃうのでやめてほしいですね…。
 
 
 
10 SPEAKER
頭文字”S"としてセトリ入りするなら…と考えた中でもかなりイチオシの曲です。最近のNEWSは『勿忘草』や『メガロマニア』など過去のカップリング曲を復活当選的に披露してくれることが多いので、『四銃士』c/wのこの曲にも大きなチャンスがあるような気がします。
 
なにより注目したいのはその歌詞。
「もう何回も倒れたって」
「挽回後、勝ち上がって」
「何度でも何度でもその声でbreak it free」
 
えええ………、、、、、
今回ここで歌わなくてどうする!!!!
 
 
 
13 Supernatural
こちらも頭文字”S”候補陣の中からの当選。バラード曲の『STAY WITH ME』からテクノっぽい『Perfect Lover』への間をどう繋ぐか、バラードではちょっとくどいし急に明るい曲でもスムーズじゃない…と悩んでいたときに出会ったのがこれ。程よくおしゃれで繋ぎがきれいなので、どうか一度この順に聞いてみてください。1番がコヤシゲなのも最近の楽曲と雰囲気の似ている一曲です。
 
そして歌詞もしっかりブロックのテーマに沿っているのが推したいポイント。
「僕らだって自然の一部」
「数字じゃ計れないモノでしょ」
『STAY WITH ME』の後に続くために存在した曲ですか???????
 
 
 
16 プロポーズ〜Love Story
こんにちは。White Love StoryのSTORYでのセトリ入りを願う党」です。
どうか『プロポーズ』『White Love Story』『Love Story』の3コンボで披露宴のオープニングムービー、プロフィールムービー、エンドロール的な感じにしてほしい。もう映像で鐘を鳴らし、鳩を飛び立たせ、羽根をありったけ降らせて会場を式場にしてほしい。そして「ちょ、羽根口に入ったんだけど〜💦」とか言いながらぐだぐだとMCを始めて欲しい。なんという欲望のハッピーセット
 
あ、あと増田さん!!どうかこのブロックの衣装は白いタキシードでお願いしますね!!!(圧)
 
 
 
 
 
ここから先のブロックはかなり構成に迷いました。中でもこの『チャンカパーナ』をInterludeの次に持ってきたのが冒険。
 
今回、初回盤のブックレットにもチャンカパーナの存在や…(中略)謎は深まるばかり」と記載があり、その謎が解けていない以上ほぼセトリ入りが確実な『チャンカパーナ』。謎と明記されている以上、それはVTRなどできちんと解明されるはずなので、アルバムのInterlude+「チャンカパーナ』についての語りがある、と想定してのこの位置です。
 
そもそも増田さんの語りは「エンターテイメントに対する責任」、アイドルとしての矜持に関するものでした。それでいくと、NEWSが4人で再始動する際、エンターテイメント性を優先して『フルスイング』ではなく『チャンカパーナ』をA面にした…というエピソードこそ、"アイドル性”を象徴するストーリーだと思うのです。
 
コンサートの第二章の”幕開け”であるMC明け一発目が『チャンカパーナ』というのも、NEWSの歴史をなぞるようでおもしろいなと感じての配置でした!
 
 
 
23 Dragonism
このブロックには『Narrative』を入れると決めていた私たちでしたが、そもそも一曲でも強い世界観を作り上げてしまう『Narrative』に並べても食われない曲なんてあるのか…?と大苦戦。ところがどっこい、最新シングルのカップリングに、めちゃめちゃ世界観の強い楽曲がいたのだ!!!!
 
“物語”・”執筆”を表現する『Narrative』の後に、フィクショナルな言葉が並ぶ『Dragonism』。まるで『Narrative』で加藤さんが描き出した世界が羽ばたいたようで、粋じゃありませんか?
 
 
 
28 NEWSニッポン〜LPS
『君の言葉に笑みを』『クローバー』はおそらく映像からの流れで凝った演出があるだろうと予想し、その後には最後にみんなで盛り上がれる曲を配置しようということに。『希望〜Yell〜』を使っているだけあって、意外と明るい曲にも合わせやすい『クローバー』。デビュー初期の曲のメロディーを聞くとやはりデビュー曲が聞きたくなるなと思い、『NEWSニッポン』に続けました。そもそも表題曲で「声上げた2003」と歌われているNEWSの”はじまり”の一曲なので、セトリ入りは濃厚ですね。
 
「最高の瞬間を共有したい人は…やっぱりファンかなぁ」という手越くんの言葉ではじまったこのブロック。「最高の瞬間の共有」というのはやはりライブでこそ実現できることです。それをこのセクションで実現できたらおもしろいのでは、という思いから、この外周タイムにはC&Rができる『NEWSニッポン』、一緒に踊れる『チェリッシュ』、声を合わせて歌う『LPS』とそれぞれ異なる参加の形がある楽曲を並べました。
 
 
 
32 愛言葉
『NEW STORY』前最後の一曲にこれを持ってきたのは私たちの思想によるところが大きいです。(笑)やはりこのブロックを”for FAN”と銘打ったからには、「NEWSからファンへ」の楽曲で締めたかったのです。『クローバー』で小山さんが「□♡▽○の愛 みんなと合わせて」と書いてくれたこと、加藤さんの歌詞が「てをひいて」を想起させるものであることを考えても、"□♡▽○”の原典である『愛言葉』のセトリ入りは大いにありうるなと予想しています。
 
 
 
 
 
==================
 
とまあ、自分たちの欲望のままに(とはいえ数時間スタッフかと思うほど真剣に)会議してきましたが、すべてオタクの妄想ですから、実際のライブがどうなるかは全くわかりません!
 
 
今回の考察の反省点はアルバム曲含めバラードが多めの構成になり、ダンスナンバーを均等に入れられなかったこと、ワンハーフで歌ったとしても尺パツパツなこと、それによって「生きろ」などの披露する確率が高そうな楽曲を入れられなかったことです。
 
これをドーム公演のセトリだと考えても、アリーナでボツにできる曲がひとつもなくて困っちゃう…。でも、今までにリリースされた曲すべてがNEWSの物語、つまり『STORY』なわけですから、なんでもかんでも歌ってほしくなってしまうのは当然かもしれません。(うまくまとめた!よし!)
 
 
 
 
きっとチームNEWSはそういう部分にも気を回して、多くの時間をかけて練り上げた最高のセトリを作って待ってくれていることと思います。
 
 
 
 
ツアーの走り出しは遅れてしまいましたが、STORYの幕開けはきっともうすぐ。
 
 
私の一押しは『SEVEN COLORS』、『White Love Story』、『Supernatural』、『Dragonism』なので、3・4月の公演に入られる方、当たってたらDM送ってくださいね!😉
 
 
 
 
 

春を願う日

 
その日私は、卒業式の前日を迎えていた。
 
生徒はみんな校内の大掃除と式典の準備に駆り出されていたが、当日のアナウンスしか仕事がなかった私は教師から早々に帰宅を許可され、ひとり家路についていた。中学一年の終わり。春を予感させる、うららかな3月の午後だった。
 
 
 
実家まですぐのT字路についたときだった。
突如として、どん、と音がするかのような揺れが発生した。
瞬時に「ああ、これは来たな」とわかった。
小中学校で幾度となく先生たちに聞かされて来た宮城県沖地震経験談が走馬灯のように脳裏をめぐる。電線が縄跳びのようだったとか、ひびの入った地面を自転車で走って怪我しかけたとか、想像の世界にあった光景が、今まさに目の前で起ころうとしていた。
 
 
歩道の脇は公園だった。
斜面が崩れる可能性を想定してフェンスから離れ、その場にしゃがむ。
地面の揺れと反比例するかのように、どんどん冷静になっていく自分がいた。
電柱が倒れたら終わる。左右の電柱から均等に距離をとって、周囲の様子に気を配る。
そうこうしているうちに、目の前の道路は白線のところでひび割れ、段差になっていく。
信じがたいことに、その道路を平然と車が走っていく。
このままここにいるわけにもいかない。
 
揺れが弱くなった瞬間を狙って、家まで全力で走った。
 
 
家につくと、母親と祖母が必死に柱を押さえて立っていた。
「なんで帰ってきたの!」と言われたが、帰宅途中だったんだから仕方がない。
家の中で安全を確保して揺れがおさまるのを待ったが、全く終わりが見えず、外に出て揺れをやり過ごすことにした。近所の人もみんな道路に出てきて、ただ呆然と自分の家を見ていた。立ち尽くす私たちの上に、季節外れの雪が舞った。
 
 
人生ではじめての、明かりのない夜だった。
蝋燭の明かりしかないことはまだよかった。何より私の気持ちを滅入らせたのは、ずっとつけていたラジオから淡々と流れてくる情報だった。海水浴に行った浜の名前、部活の練習試合で行った学校、よく知る土地の名前の後に続く「身元不明の遺体新たに200人」。ほどなく、「福島第一原発で爆発が発生しました。詳細はわかりません」。数十キロ先の世界が一体どうなっているのか、全くわからない恐ろしさがあった。気晴らしにチャンネルを変えてみると、延々と流れてくるのはオリンピックのテーマソングのような応援歌だった。この状況でどう頑張って前を向けというんだろう。だったら私はそんなとってつけたような特集じゃなくて、毎日聞いていた音楽を聞きたい。
 
 
情報にいちいち絶望するのも嫌になって、自分のベッドで寝たいとわがままを言った。
布団の中に持ち込んだiPodは電池残量が3%しかなく、どう頑張っても一曲分を流す体力しか残っていないように思えた。
 
 
選んだ一曲は櫻井翔くんのソロ『T.A.B.O.O』だった。
日本中探しても、あの日にこんな歌を聞いていたのは私くらいじゃないかと思う。でも私は、昨日まで当たり前に聞いていた曲を聴きたかった。不思議なことに、毎日親の声より聞いていた音楽は驚くほど安心できて、一曲聞き終わる前に私は眠りについた。
 
 
 
 
 
それから、電気が復旧するまでに一週間かかった。
冷蔵庫が使えないため生物から消費する必要があり、毎日朝ごはんはいただきものの東京ばななだった。
水道は復旧するまでに二週間、ガスは一ヶ月かかった。
 
 
 
 
 
それでも私の家ではほぼすべてが「復旧」した。
私は地震でかすり傷ひとつ負わなかった。
 
 
 
クラスメイトは津波で親を亡くした。
住んでいた家が流されて転校してきた人もいた。
故郷に帰れなくなった人もいる。
 
 
2011年からずっと、私は募金「する側」で、
震災"体験者"ではあっても、"被災者"ではない。
 
 
「復興」の定義は難しい。
一度失われてしまった命も、町も、決して元には戻らない。
被災した人にとって、震災後はずっと「震災後」でしかないのだ。
だから復興という営みには終わりがない。
 
 
それでも、私には、ただ想うことしかできない。
言い換えれば、語ること、祈ること、忘れないこと。
そう思って筆を執ってみたところで、私には人一人救えやしないけれど。
 
 
 
 
3.11は、私にそういう無力感と「人生は有限である」という実感を遺していった。
終わりは唐突にやってくる可能性の方が高く、私の人生が明日も同じように続いていく保障なんてどこにもない。一時間後に天災が起こるかもしれないし、明日、交通事故で死んでいるかもしれない。毎日強く意識しているわけではないが、悲観的な意味ではなく、日常のふとした瞬間にそういうことを思う。いつか死ぬということが当たり前の感覚として、ずっと心にある。
 
 
あれから9年が経った。記憶は手を伸ばせば届く距離にあるのに、実感のないまま時間だけが流れた。明日死ぬかもしれない今日を積み重ねて、私はなんだかんだ、あれから9年も生きている。奇跡的なことだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
震災当時、本当に嫌だったことが一つあった。
世間の自粛ムードだった。
 
結局こちらはそれどころではないのだから、せめて世界はいつも通り回っていてほしいと思っていた。
電気が復旧して、やっとテレビが見れると電源を入れたが、延々と流れてくる公共広告機構のCMは非日常感を強くさせた。普段通りのCMでも流していてくれれば、少しでも心が落ち着いたかもしれないのに。この際再放送でいいからバラエティをやってくれと思っていた。アナウンサーではなく好きなタレントの顔が見たかった。
 
 
そして2020年の今日。
テレビも見れるし電気もつくのに、なぜか同じようなことを思っている。
 
 
エンタメは精神のライフラインだ。
震災当時も、これまでも、私の心を照らしてくれたのは好きなアイドルの歌であり、姿だった。一週間後に毎週見ていたバラエティの通常放送が決まって小躍りしたときの嬉しさは今でも忘れない。それなのに、私が強くエンタメを欲しているときに限って、第三者にそれを阻まれてしまう。
 
 
感染症対策のためのイベント自粛要請が、理由があってのことだとはわかっている。
それでも、「未知」のことへの恐怖、根拠のない発言がいともたやすく拡散されてしまう情報化社会、不安を煽るようなメディアの報道、そういったものがどんどん悪循環を起こして、パニック状態に陥っているような気がする。世間の風潮は「今は耐える時」一色だ。そのうち「欲しがりません勝つまでは」などと言い出しそうな気さえする。
 
対策を講じることは必要だと思う。
でも、もし自粛要請をするなら、なにを持ってして判断するのか、どうすれば再開できるのかをきちんと教えて欲しい。侮るわけではなく、長期戦が強いられる感染症対策がずっとこの調子では、世の中が疲弊しきってしまう。
 
 
人にはそれぞれ大切なものがある。
エンターテイメントを愛する人にとってそれは、なにより心を潤してくれる水のようなものなのだと、わからない人にもどうか理解して欲しい。一番エンターテイメントが必要とされているときなのに、その力を発揮する機会が奪われていることが、どうしようもなくもどかしい。
 
 
 
今年、NEWSとともに再び迎える春を、1年間ずっと楽しみにしていた。
新社会人になってしまう友人と、地元宮城で、また4連のうちわを持つはずだった。
公演は延期になり、友人はチケットを払い戻した。
友人は、アルバムプロジェクトの最後を見届けることが叶わなくなってしまった。
 
 
 
会いたい人に会えなくなるのは、
叶うはずだった約束が叶わないのは、
いつだってつらい。
 
 
 
9年前から変わらず私はずっと無力で、
一人でできることなんて、どうにかなれと祈ることしかない。
それでも、何もしないよりはいいはずだと信じて、
今日だけは、どこかの神様に祈ってみる。
 
 
東北にも、エンタメを愛する人たちにも、
どうか、春がきますように。
 
 
 
 
 
 
 
14時46分。
 
ずっとアラームに刻まれた時刻に目を閉じて、
 
今年も、春を願う。
 
 
 
 
 
 

Bcc:で届く愛ーアイドル短歌まとめ2ー

WEB歌集 J31Gate 第6回「時間」・第7回「乗り物」に参加しました。

他担の方が多く見る企画なので、できるだけ加藤さんやNEWSに興味を持ってもらえたらと思ってやっている節があるんですけど、純粋に見るのも詠むのも楽しんでます。
 
定期的に参加していると自分の中でも短歌を考えるのが習慣になってきて、掲載していただいたもの・選外にしたものも含めて溜まってきたので載せて行こうと思います。
 
 
 
 
 
 
 
 
〈 ジャニーズ短歌 “時間" 〉
 
 
〈欲しいもの:時間〉の解釈 正解は「ありがたいね」か「SOS」か
(J31Gate 013 加藤シゲアキ
ラジオで「時間が欲しいね~」とよく言う加藤さん。そのあとには「ありがたいんだけど」と続くことが多い中、「正直キャパオーバー」「助けて欲しい」と続いた昨年末のシゲ部。あれから、どちらが正解なのかわからなくなってしまった。「加藤さん自身が文章表現を悩んでいる風でもある」という感想をいただいたのですが、その視点もおもしろいなと思いました。
 
 
迫り来る四季の頁をめくる手に焦り執筆進める次頁(みらい)
(J31Gate 014 加藤シゲアキ
加藤さんっていつも時間に追われているなと。それは文筆業の締め切りであったり、NEWSのコンサートの準備であったりするわけですが、それらはすべて”NEWS”という物語の未来を描く活動なのだなと思い、書籍に喩えてみました。
 
 
 
キーボード叩き奏でる音楽は 午前3時 活字のワルツ
 
 
制服の波間に見えた横顔が君に似ていた渋谷・黄昏
 
 
君につく最後の嘘を考える 机の氷溶けるまでには
(氷温/加藤シゲアキ
 
 
 
 
もしも今 タイムマシンがあったっていらない「今」を肯定したい
(NEWS)
 
 
少しずつ縮む寿命を少しずつ遅らすために今日も「生き」てる
 
 
まだ夢を見てもいいかな僕はまだ生きたい君と明日が見たい
 
 
流れ星止まった 君と目があった 宇宙にふたりぼっちのぼくら
(EPCOTIA)
 
 
 
 
またこれか アップデートが多すぎる 君の魅力も私の「好き」も
 
 
昨日より今日の貴方が愛しいと言い切れるから明日がこわい
 
 
 
 
 
 
 
 
 
〈 ジャニーズ短歌 “乗り物”〉
 
 
どこへでも行ける僕らのエンジンは愛と絆とイマジネーション
(NEWS)
 
 
夜空往くジェット機「あれも星だよ」と星に願わぬあなたは言った
(J31Gate 066 手越祐也
星に祈るまでもなく、自分の努力で叶えてやる、と言いそうなのが手越祐也という人だと思う。毎日当たり前に空を横切るジェット機すら、常識に囚われない彼にとっては流れ星になりうる。常にチャンスはそこにある。「スター」の定義は自分で決める。
 
 
ティードの後部座席に乗って行く 君の瞳に映るまちかど
(J31Gate 067 加藤シゲアキ
エッセイ 『できることならスティードで』から。エッセイを読むと、『ローマの休日』のように幻のスティードに乗せてもらって加藤さんの視点で切り取った世界や心象風景を旅しているような気持ちになれるので。彼の肩越しに見る世界は発見に満ちている。
 
 
タクシーの揺れが連れ来る思い出は遠く 港区 永訣の夜
(「岡山」/加藤シゲアキ
 
 
 
ブレーキ5回は踏めずにワイパーで手を振ってみた 君にサヨナラ
加藤さんって自意識に負けて「ブレーキランプ5回点滅 アイシテルのサイン」とか出来なさそうだなと思って。代替案を考えたから気づいてほしい、という心情にも、本当は大好きだけど勝手に距離を取ろうと決めて勝手に去っていく日の心情とも読めるように詠みました。
 
 
 
助手席の君に恋する午後8時 ふたりぼっちの雨の首都高
 
 
 
 
 
 
 
 
 
〈 メンバーカラー 〉
 
 
幸せの色をわたしは知っている やたらと増えた服たちの色
 
 
着ることで君に気持ちが伝わると信じて纏う 似合わなくても
 
 
雪解けを待った季節を乗り超えて芽吹いた君はたくましい緑
 
 
紫は青と赤からできている 俺は抱える全部全部を
 
 
 
 
 
 
 
〈 STORY 〉
 
冗談に見えて本気でデートまで指折り数えて待ってるよ、俺
 
幸運と希望、誠実、愛情が全部詰まった四つ葉のエール
(クローバー)
 
 
 
君が言う「You」は単数形の「You」 Bcc:で届く愛です
(NEWS)
 
 
 
 
 
 
 
 

『STORY』に落ち込み、『STORY』に救われる。

 

「凹むときには徹底的に落ちるところまで落ちることにしている」

というライフハックを教えてくれたのは加藤さんだったと思うのだけれど、もうどこで言ってたのかは思い出せない。いつしか自分もそうすることが多くなりました。落ちるところまで落ちて底まで行くと、大概悩んでいることがバカらしくなってくるものです。

 

どうかファンでいさせて - EVERGREEN

 

この世の終わりだ、くらいに思っていた昨日。

ファン心理をちょっとわかってほしい気持ちはあったけれど、文句を言ってNEWSを悲しませたいわけじゃない。「きっと加藤さんはわかってる」って縋るような気持ちになっても、それはそれで自分に都合のいい加藤シゲアキ像を作り出しているような気がしてしまって、申し訳ない。メールなんて絶対出したくない。加藤さんのラジオがクレーム処理室になるのは嫌だ。

 

…NEWSのこと大好きか????

 

めちゃくちゃ思い詰めていたこと、全部NEWSの話で、結局呆れるほどにNEWSが好きなことしか伝わってこなくて、自分で自分が可笑しくなってしまいました。

 

 

一方で、友人にはボロクソに言われました。

「いやただの文句じゃん」「ファンの定義とかなくない?」とめった刺し。

 

 

 

私にはあったのです。

 

「NEWSに対して100%肯定的にふるまう」というのが、私が決めたファンの定義でした。いろいろ(いろいろ)あったとき、絶対にファンを自称しながら本人たちを傷つけるような人にはなりたくないから、自分は常にすべてを肯定しなければならないと、そう決めていたのです。

(もちろん他の人に対しても同じだとは思っていません。勝手に自分に課したルールでした)

 

 

それ以降、奇跡的にずっとNEWSの活動も作品も100%「いいじゃん!」と思って受け取れてしまっていたから、よりによって今回の『STORY』というアルバムで少しでも引っかかりを覚えてしまったことにどうしていいかわからなくなってしまったんだと思います。

 

 

本来、アイドルのことと、楽曲という作品のことは、切り離して語られて然るべきです。たとえば「WORLDISTAそんなに好きでもないんだよね、EPCOTIAの方が好きだな」と言う意見に対して、「てめぇはファンじゃねぇ!」などと言い出す暴君はいないでしょう。そこはフラットに捉えていいはずだったのです。

 

でも今回、「ファンとNEWS」というメタな関係値を楽曲やプロジェクトに落とし込まれたことで、切り離して考えることが難しくなってしまった。全くそんなつもりじゃなかったのに、楽曲に対して思ったことが、まるでNEWSに対する否定のように思えてしまう。

NEWSが大好きだから、「ファンのみんなのために作った最高傑作です!」って言われたらこれまで以上にネガティブな感情が許されない気がしてしまう。既存の曲でも、『U R not alone』や『Love Story』がそんなに好きじゃなかったとして、それを発言するのはかなり憚られると思います。アルバム全体を通してそんな圧力を感じさせてしまいうること、それはこの『STORY』というアルバムが持つ最大のリスクかもしれません。

 

たとえるなら、めちゃくちゃ長い時間をかけて用意してくれたとわかっている恋人からのプレゼントが、そんなに嬉しいものじゃなかったときの絶望感というか。

 

 

 

実際には、対象のすべてを大好きでいるなんて不可能に近いことです。

もうちょっとみんな、好きなら好き、好きじゃないなら好きじゃない、と言っていいと思う。わたしはNEWSのことは大好きだけど、今回の声の使われ方には感動しない人間です。大事なのはそれを嫌味なく言うことと、そればかりに執着せずに、「いい」と思ったことをこそ発信していくことなんだと思います。

 

 

 

今までもこれからもずっと、わたしはただ「あなたの風になりたい」だけだったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで気づかれた方もいるかと思いますが、『STORY』開けました。

 

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あなたのために作ったアルバムだと言われたから、

アルバムで初めて、奮発して初回と通常の両方を予約していました。

きっと答えはずっとそこにありました。

 

 

受け取りに行ったコンビニの雑誌コーナーにまだ買えていなかったTV LIFEがあって、一緒に会計してもらいながらフラゲ日にタワーレコードの段ボールと表紙の雑誌買っていくなんて、絶対こいつNEWSファンだって思われてるじゃん…恥ずかしい……並び直して別のレジいけばよかった……」と思ったとき、相も変わらず自分をちゃんと「NEWSファン」だと思っている自分に気づけました。

 

昨日ずっと超えられないと思っていた境界線は、知らないうちになくなっていました。

 

 

 

家に帰るなり、とりあえず開いた歌詞カード。

一読してこぼれた言葉は「わたしの話やんけ」です。

「知らない誰かとNEWS」ではなく、「わたしとNEWS」の物語がそこにはありました。

 

 

昨日煩悶していたことについて今思うのは、『STORY』のファン参加型企画は、わたしたちファンのためのものではなく、むしろこのアルバムを世に送り出すためのものなのではないか、ということです。

もしもこのアルバムがファンクラブ限定発売で、私たちファンだけが聞くものだったら、この企画は不要だったと思います。初回限定盤のパッケージと歌詞カードを見ただけで、私たちはエモいと思えるから。

でも、今ファンではない人たちには、NEWSと私たちがどんな歴史を辿ってきたのかという知識がありません。普段どんな風に愛し合っているかという共通認識がありません。それでも「ファンから募集したものを使ってつくりました」と企画の説明があれば、通常盤のジャケットを見れば、なんとなく「ファンと一緒につくりあげたものだ」「この人たちはファンとの結びつきが強いグループなんだ」ということがわかる。そのための企画であり、「みんなでつくる物語」というコピーなのだと考えています。

 

『STORY』というアルバムはテーマからなにからあまりにも内向きすぎて、この人たちファンのことしか見てないのでは??なんて思ったりしますが、NEWSは多分「ファンのことしか見ていないアイドル」というのを自分たちのカラーとして真面目に売り出そうとしているんだと思います。

 

そう考えると、音楽番組についても、トークの時間があまり確保されていないMステや大型歌番組では歌唱力という武器が伝わる『SUPERSTAR』を披露し、バックグラウンドについて語れる番組、あるいは理解されている番組(少プレ)では『STAY WITH ME』を披露する、というように使い分けているのではないかと思うのです。

 

 

 

 

もし、わたしと同じように『STORY』に対して一抹の後ろめたさや悲しさを感じている人がいたら、とりあえず『STORY』を開いてみることをお勧めします。

 

 

まだフラゲできていない人は、はやくあなただけの『STORY』を迎えに行ってあげてください。あなたの『STORY』です。あなただけの『STORY』が待ってます。

 

 

 

わたしのような面倒臭い人間が「選ばれる/選ばれない」でメンタルボロ雑巾になるリスクや、ある種の同調圧力を与えてしまうリスクを負ってまで、NEWSが届けたいメッセージはこれだったんだと思えます。「後悔させないから」というだけあります。 

 

 

これから『STORY』をちゃんと聞きます。

大好きなNEWSがくれるものは、多少の好き嫌い問わず余すところなく受け取りたいので、やっぱりわたしは「ファン」としてSTORYを楽しみます。ライナーノーツも書くし、セトリ予想もしたい。

 

なぜなら、わたしの葛藤も含めて、わたしだけの『STORY』だからです。

 

 

 

どうかファンでいさせて

 昼食を食べに入った喫茶店で、トレーを置いた瞬間、思いっきりマグカップを倒してしまった。ドラマみたいに飛び散った紅茶が服にかかる。加藤さんがWORLDISTAで着ていた衣装に似ていて気に入っていた白いスウェットも、緑色だから買ったコートも、全部クリーニング行き。周囲の人にかからなかったのがせめてもの救いだった。上の空で過ごしているからこんなことになる。

 

 ずっと、昨日解禁されたアルバム曲について考えていた。『君の言葉に笑みを』。共感性羞恥で耐えがたいとか、テーマが「夢」なのはどうなんだろうとか、気になるところはいろいろあれど、結局私は「ひとりひとりの音声をこれだけはっきりと使う」ことが辛かった。音源の募集がかかった時点で嫌な予感はしていたが、まさか楽曲には使わないだろう、使ったとしてもコーラスの後ろでちょっと聞こえるくらいだろうと淡い期待を抱いていた。期待は打ち砕かれてしまった。ファンを形ある個人として認識してくれるNEWSの愛は基本「わたしとNEWS」あるいは「みんなとNEWS」の文脈で受け取るからこそ心地よいのであって、「他のファンとNEWS」ではない。そもそも、ファンの母数的に「ファン参加型企画」というのはかなり無理があって、使われるのはほんの一部の人たち。それも、ファンサのようにその日のラッキーボーイ、ラッキーガールというわけではなく、未来永劫残る音源で、「採用された人」と「採用されなかった人」が出てしまう。そこにファンとしての差はないはずなのに、どうしてそんなことにしたんだろう、と思ってしまった。自分はそれがすごく辛いから。

 

 

 「STORY」が発表された時のことを思い出す。

 ロゴ募集が始まった当初は乗り気だった。「ファンを巻き込むのが好きだなぁ」と思った。正直、デザインのようなものをかじっている身ではあったので、どうせやるなら採用されたいと意気込んでいた。きっとたくさん並べて使われるから、どうせなら他の人とかぶらないようなものをつくりたい、「STORY」の文字でどう自分を表現してやろうか、と思っていた。

 ふと、使い道を想像した。ジャケ写、映像、衣装。到底全員分使われるとは思えない。発売になったときの自分を想像した。ジャケットの表面に自分の送ったものが見当たらず、告知映像をコマ送りで探す。じゃあ衣装には使われているかもしれない、脇の下とか見えづらいところにあるのかもしれない、きっとある、と祈るような気持ちでSTORYのブックレットをめくる自分を。それで見つけられなかったときの絶望を思うとぞっとした。なにも自分が参加しなくても「STORY」は楽しめると思った。誰よりNEWSに「選ばれない」という未来では到底生きていける心地がせず、私は企画に参加するのをやめた。

 

 

 9月の自分の判断は、概ね正しかったと言える。

 ただ、参加しなくても同じことだった。

 

 発売中の雑誌でNEWSはみんな、STORYを「ファンの皆さんからエピソードを募集した」、「ファンと一緒に作り上げたアルバム」だと言う。その「ファン」にわたしはいない。

 

 そのことに気づいてから、自分の足先に白線が見える。

 

 

 歌番組で愛言葉を歌うNEWSが羨ましくてNEWSファンになった。

 昨日も一昨日も、当たり前のようにNEWSのファンだった。

 それなのに、気づかないうちに、ファンのくくりから外れてしまった。

 

 

 きっと私がEPCOTIA ENCOREに参加できていなかったなら、私はLove Storyの発売時点でこんな気持ちになっていたかもしれない。私は音源に採用されているオーラスにはいなかったけれど、あのメロディーを歌わされた記憶があったから、「サプライズ」として楽しめた。でも一度も会場にいけなかった人たちにとっては?全方面に気を遣っていては挑戦的なことはできないのはわかっている、わかっているからこそ、Love Storyがきっとファン参加型の限界だったと思う。とりあえず形になったものが「コーラス」として個が消えた形になっている分、音楽としては楽しめる気がするから。

 

 

 

 個人的な話になる。

 私は「選ばれない」ということに人一倍恐怖心が強い。きっかけはわからない。三人兄姉の一番下に生まれて、物心ついたときから自分の存在価値みたいなものをずっと考えていたからかもしれないし、逆に「頑張れば選ばれてきたから」かもしれない。いつも誰かに必要として欲しくて、勉強ができれば社会的に必要とされると思ったからそれなりに勉強した。学校の仕事はなんでも手をあげてやったし、だいたいなんでもリーダーだった。肩書きがあると、そこに自分の存在価値があるようで安心できた。友達にも「選ばれたい」と思ってしまう。親しい友達が自分抜きで遊びに行っているのを知ると、「選ばれなかった」「お前はまた選ばれなかった」と頭の中で声がするような気がする。話がおもしろくないからか、ノリが悪いからか、自分の粗探しをするけれど、これといった原因が見つからなくてパニックになる。それから、あまり言いたくないけど恋愛面で全く成功体験がないのも大きい。わかりやすくモテないので人生全戦全敗で、それが愛されることへの強い渇望を生んでいる。

 

 

 でも、そんな自分を救ってくれるのが、ファンという立場だった。「ファン」という存在である限り、必ずタレントは私を肯定してくれる。「大好き」と「ありがとう」で成り立つファンとタレントの関係は、とても単純明快で、それでいてとても綺麗な共依存だと思った。

 

 NEWSは特にその結びつきが強いアイドルだった。ファンであるというだけで無条件に肯定してくれるだけでなく、たくさんメッセージを発信してくれて、私にも何かできることがあるかも、と思わせてくれた。

 大好きな人たちに必要としてもらえることが嬉しかった。

 好きな人を好きでいていいのが嬉しかった。

 大好きな人に「大好き」と言えるのが嬉しかった。

 

 

 私はアイドルに大きなものを求めすぎているとわかっている。

 

 

   そんなNEWSのファンでいられないと思ったら、どうしていいのかわからない。

 ただひたすらに、申し訳ない、という感情しか湧いてこない。

 重すぎる感情を抱いてしまってごめんなさい。

 面倒臭い人間でごめんなさい。

 

 NEWSのくれるものを手放しで喜べるファンでありたかった。いつだってNEWSに喜んでもらえるファンでありたいと思っていた。今だって、NEWSに必要としてもらえるような、正しく追い風を送れるようなファンでありたいのに。

 

 

 

 ずっとぐるぐる考えてしまって、行き着く先の言葉が「ごめんなさい」しかなくて、もう何を誰に謝りたいのかもわかんなくなってきて、バイト中からずっと涙が止まらなくて、今も泣いている。

 

 

 

 好きな人の名前がついたキャンペーンなんてきっと一生に一度なのに、せっかくの加藤シゲアキウィークにお祭り気分になれていないことも申し訳ない。

 

 でも『STORY』を聞いてしまったら、もっと参加した人と隔たれてしまうのではないかということがこわくて、アルバムを開ける気がしない。

 ずっと楽しみにしていた4部作の最後なのに、4人がすごく考えて準備してくれたものだということはわかっているのに、それを楽しめない自分のメンタルも申し訳ない。

 「正直もうファン参加型はこれで勘弁してほしい」と思ってしまっている本音も、挑戦を続けるNEWSに足かせをはめるような考えに思えて、それも申し訳ない。

 

 

 

 

 私はただ、昨日や一昨日と同じようにNEWSが好きで、

 明日も来年もNEWSファンでいたいだけなのに、

 どうしたらいいのかわからないのです。

 

 急にNEWSが思う「NEWSファン」から弾き出されてしまったような気がしてしまって、

 どうやったら今まで通りの白線の中に戻れるかわからないのです。

 

 

 

 

 

 誰も傷つけたくなくて、文句とも取られたくなくて、やたら明るい文章を書いてみようかとも思ったけど、うまく言葉が見つからなくて、結局こうなってしまったことにもごめんなさい。

 

 

 

 

 どうか、ただのファンでいいから、ファンでいさせてください。

 

 

 

 

【追記】

このあと、1日経って気持ちの整理がついたので、次のエントリを上げました。

 

『STORY』に落ち込み、『STORY』に救われる。 - EVERGREEN

【妄想】NEWSカバーアルバム&ライブツアー『TONE』

 
※この記事は筆者の独断と偏見と妄想により出来上がっています。だいぶ強めの幻覚を見ていますが危ないクスリはやっていないので心配しないでください。通常運転です※
 
 
 
 

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NEWSカバーアルバム『TONE』
2021.03.03発売
 
[初回盤・通常盤収録]
 
1.ソラシド / GreeeeN
2.ピースサイン / 米津玄師
4.Sugar / 嵐
6.STAY’IN ALIVE / JUJU
7.カンナ8号線 / 松任谷由美
9.さぁ鐘を鳴らせ / DREAMS COME TRUE
10.ラストソング / Official髭男dism
 
[通常盤収録]
 
11.FIRE GROUND / Official髭男dism(Vo.手越祐也
13.milk tea / 福山雅治(Vo.小山慶一郎
 
 
オーラスのセトリはこちら!
ステージセットはほぼNEVERLANDと同じでした。

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ついに発売になったNEWSのカバーアルバム!!
 
音楽番組ではカバー企画を任されることも多かったNEWSですが、こうして盤になってみると、本当にNEWSの歌がいろんな人に認められた結果なんだなあ…って感慨深いです。
言うまでもないけどコンサートも最高で。NEVERLAND〜STORYを経てさらにパワーアップしたNEWSのエンターテイメントを感じることができて本当に幸せでした。
 
ちなみに私は石油王と結婚して全ステしました!!!
 
 
 
 
以下、セトリ順に感想を書いていきます。
 
 
 
 
 
 
1.ソラシド / GReeeeN

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ソラシド

ソラシド

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『weeeek』『U R not alone』『戀』と散々お世話になってきたGReeeeNの楽曲で幕を開ける本作。これまでそこまで聞いていた曲ではなかったんですけど、曲目が発表になってから原曲を聞いて、なんだこれNEWSのためにある曲じゃん???と思いました。ボーカルが入るタイミングから一気ににギアがあがるイントロから増田さんの「NEWS LIVE TOUR 2021 TONE!楽しんでいってね〜!」っていうのが尺ぴったりすぎるアウトロまで、そのためにつくられた楽曲か??って思っちゃう。なんなら「ソラシド」の四音がフィーチャーされてるところがもうNEWS(?)。だってNEWSって同じ四音でも「ドレミファ」じゃなくて「ソラシド」って感じしません??長調だけどハ長調じゃなくてト長調なのがNEWSだと思いません??
 
           ◆
 
オープニングに定評のあるNEWS、もちろん今回も圧巻の登場。Overtureのあとに曲がスタートし、イントロでサーチライトのように動いていた照明が一気にメインステージの方に向いた「Wow~」のタイミングで見えてくる4人。眩しい……眩しすぎてNEWSが見えねぇ……!!メインステージの上からエレベーターのような一人用のゴンドラで下がってくる小山さんいじめの演出(cf.嵐『LOVE』ツアー)。せり上がってきたり上から降りてきたりする演出、わかりやすくオープニングって感じがして大好物です。最初数秒顔が見えないから、みんな最初「自担どれだ?」って探してたと思うんですけど、下がってきたときの腰から下の長さが違いすぎて小山さんだけすぐわかったのが爆笑だった。
 
個人的には1番サビのときにビジョンの真ん中らへんで止まって、後ろの画面に五線譜が出てきて4人が”ソラシド"になる演出が大好きでした。あと、Cメロ前の間奏が引き伸ばされて8カウント×4のアクセントダンスになってたところ!!ステージに降りてきてすぐ踊るの大変だろうなと思ったんだけど、NEWSもなんだかんだジャニーズなので、かっこよく決めるんだなぁ…。踊ってる人にスポット当たってビジョンでもそっから波紋が広がるような演出になってて、Brightest大好き人間としては垂涎ものでした。すいません、ビジョン演出大好き侍なので…ライブの映像演出担なので…すいません…。
 
             ◆
 
歌割り、というほどのことでもないんですけど、ライブの始まりが4人のユニゾン(「Wow~」)なのって一瞬で「NEWS」を感じられてとてもいい!あと、ラップパートが4人全員で分担するかたちになってるのもめっちゃ嬉しいポイントでした。4人になってからはもっぱらラップ担当が増田さんになって、それはそれでめっちゃかっこいいので大好きなんだけど、『SUMMER TIME』みたいにラップパートでわちゃわちゃする曲も大好きなので…。珍しくゴリゴリに食い合うような(手越くんがセーブしない)テゴマスのハモリも贅沢…。

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これは自担色眼鏡ですけど、つくづく加藤さんってGReeeeNの曲似合うなあと。ハスキーだけど低いわけではない声質がね、似てるもんね!歌い出し任されちゃうのわかるな〜!
 
あと、増田さんの「応答せよ」で毎回NEVERLANDを思い出す私でした。

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最近のアルバム・プロジェクトではゴリゴリに壮大なオープニングに気圧されて、気づいたら宇宙にいたり仮想空間にいたりしたものですが、久々にこういうハッピーな幕開けもいいなと思ったり。ライブの一曲目としても今回のテーマの「音」という部分を象徴している作品で、コンセプチュアルさも残しつつ、勢いもありつつでとってもよかった!!
 
 
 
 
 
 
2.ピースサイン / 米津玄師
ワークエを歌ったあと、早替えを経てメンステで歌う『ピースサイン』。味スタのOPみたいなラフなTシャツっぽい衣装がかわいい。今をときめく米津玄師さんの曲とあっていろんな歌番組でパフォーマンスさせてもらえて、ファン以外からもたくさん反響があったのが嬉しかった。ありがとう、米津さん本当にありがとう。
 
ちょっとこの曲に関しては(異常に)長くなってしまいますが、とりあえずこの天才的な歌割りを見て欲しい。

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何から語ればいいんだ……。
 
とりあえず1番。普段NEWSの曲を聞いていても、増田さんってどうしてこう固有名詞(ex.チョコレートの板のボコボコ)が似合うんだろうと思うんですが、それはあの不思議な声がフィクショナルな世界観を形作るからなのかなあと思っていて。この曲でも増田さん始まりであることによって飛行機が見えるような気持ちになるんですよね。バラードとはまた違う、増田さんはじまりが大正解の曲。
Bメロの手越くんも大好きです。「残酷な運命」なんて言葉を歌っているのに、微笑みながら優しく丁寧な歌い方をする手越くん、人生何回目??って感じがして好きです。でもちょっと伏し目がちに笑うから憂いもあって、例えるなら聖母マリアのような。すぐに手越くんを宗教画にしてしまう…。
 
2番になるとしんどさのレベルが3上がる。歌番組ではカットされてたおかげで「NEWSかっこい〜!」って反応ができたけどここ歌われたらもう無理です。毎回ここで涙こみ上げてしまう。だって「変わっていく僕を笑えばいい 独りが怖い僕を」ですよ、こんなん加藤さんのためにある歌詞じゃん…。人見知りだし強がりだし一人でも生きていけます、って顔してるくせに”独り”に対してはすごくトラウマがある人じゃないですか、加藤さんって。しかも一番と違って「笑↑えばいい」と音が上がるから必然歌い方も強くなる。どうしたって心に刺さる。
 
それでいくと直前の手越くんもしんどいポイントでした。「それ以上に僕は弱くてさ」って手越くんが歌っちゃうの??っていろんなことを思い出して辛くなりかけるんですけど、その次に「君が大事だったんだ」と続くから、それがファン大好きな手越くんにぴったりで救われる。
サビ前の増田さんは「触っていたいんだ 君の心に」でカメラの方に手を伸ばしてくれるいつもの増田プロ。あ〜〜でもここは歌番組で見たかったな。Mステさんとかのカメラワークで見たらさぞ最高だったろうに…。
 
でね、Cメロですよ、このCメロも大好き。
コヤシゲ・テゴマスでかわるがわる歌って「鮮やかにも現れてく」と「もう一度取り戻せ」でハモるご褒美。Cメロ行く前にコヤシゲテゴマスの順に並び替わって、お互いの方を向きながら歌うもんだから、シンメという概念が大好きなジャニオタは昇天してしまうのです。
 
おまけに、言うの忘れるところでしたがイントロから入っている「Wow~」のコヤシゲが最高なんですよね。4人でハモってるけどちょっとコヤシゲが強めにMIXされてる気がする。声色的に合うと思われてのことなのかな、『JUMP AROUND』のサビのコヤシゲが大好きなオタクなのでそうやって声質を生かしてもらえるのが素直に嬉しい!!
 
 
改めて疾走感のある曲も世界観の強い曲も歌えるんだなあって思い知らされて、ほんとNEWSにアニメの主題歌のお仕事来ないかな…ってなってます今。
 
あと、(おそらくair:manさん振り付けの)振りでは「さらば掲げろピースサイン」でピースを掲げるわけですが、そのときにアップで抜かれる手越くんの不敵な笑みがかっこいいことかっこいいこと…。え、手越くんヒロアカ出てた…??
 
 
 
とまあ、ここまで長々と語ってきましたが、そもそもピースサイン』というタイトルからしてエモすぎやしないかと思うわけです。「空高くかかげ 指ひろげつくる ピースのサイン 眩しい NEWS 創り出せ!」でデビューしたグループですよ。いや、アンサーソングか???
 
2番のサビとかすごいと思うんですよ。「夜明け前を手に入れて笑おう」「青く燃える色に染まり」「手を繋いで」で頭の中に走馬灯のようにLPS〜BLUE〜「生きろ」のMVが流れる。そんでもって締めは「捻りのないストーリーを」でしょ…?「声あげた2003 旅ははじまり そして今2020」*1じゃんこんなの。ありがとう、米津さんありがとう…(n回目)。
 
 
 
 
 
新曲なのに煽り曲にされてしまう新手の猛者。
しょうがないよ、タオル振り回したくなっちゃうもん…。
 
リフター乗るためにちょっと伸ばしてあったイントロで小山さんの「タオル回す準備できてるか〜!」に歓声で答えつつ、頭サビからぐるんぐるん回すのが楽しすぎて楽しすぎて。でも調子乗ってやりすぎるとこの後『恋祭り』なので死ぬ。二の腕が死ぬ。アイドルのコンサートis筋トレ。ここ二の腕鍛えるタイム…。
 
これ、アルバムの中でも特にいつもメインボーカルに据えられる手越くんの歌割りが少ない曲だったと思うんですけど、『IT’S YOU』然り、そういうチャレンジができるところにNEWSのグループとしての成長を感じられてよかったです。
一番も二番も似たような歌割りだったけど、まあコヤマスの声が映えること映えること!!音域的にもぴったりで、4人の中でも声に「甘さ」を持っている二人のマリアージュがぴったりハマった印象でした。
 
そういえばリフターの乗ってるところから金銀の紙吹雪がいっぱい降ってきたのも星屑みたいできれいだったな〜!いっつもNEWSの周りにキラキラしたものは見えてるんですけど、スタンドのときには本当にキラキラをまき散らしながら歌っているように見えたし、アリーナのときにはそのキラキラが降ってきた(物理)。もともと原曲が大好きだったので、NEWSが歌うアイドル力マシマシの『銀河と迷路』も大好きになりました。
 
花道で踊ってるジュニアも可愛かった!
 
 
 
 
 
やっぱり山下達郎か?はたまたKing Gnuか??と憶測が飛び交っていたまっすーソロ。
選ばれたのはサザンでした〜〜〜!!!!!
個人的に増田さんはNEWSで一番夏が似合うオトコだと思っていたので、この選曲は本当にぴったりで。あの甘くのびやかな声で「四六時中も好きと言って」ですよ?? ハァ〜〜〜
 
コンサートでは、事前の夏の海メドレーで散々匂わされた後のソロ一番手。NYAROが終わると同時に聞こえてくる波の音。青く揺らめく水面のような照明が会場を包み、私今マーメイドラグーンにいるわ…と思ったところにセンステにせり上がって登場する、おしゃれなスツールに浅く腰掛けた増田さん。しかも衣装はおしゃれだけどシンプルなゆるめの白T。
 

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圧 倒 的 リ ア コ
(突然のテレガイperson)
 
そんな増田さんがいつも以上にマイクを離しながらのびのびとこの曲を歌いあげるわけですが、ずっと優しげな表情なのが本当にずるい。曲が終わって、自分に当たってるスポットが消える瞬間に、ふっ、と優しく微笑むその笑顔に毎回悲鳴があがるのも納得。
 
あと、強火増田担の小山慶一郎さんが爆誕するきっかけにもなりました。
 
 
 
伝説の真駒内でのMC載っけときますね。
 
(´-」-`)「まっすーの真夏の果実めっちゃいいよね」「めっちゃまっすーに合うと思ってたもんおれ」
 
リ`▽´ノリ「あ、ありがとう///」
 
(´-」-`)「俺次出番だからさ、下でめっちゃ急いで早替えしてるわけ。ちゃんとモニターで見たいのにさ〜、BGMじゃもったいないのよ!だから俺せめて大サビからは完全にスタンバイ終わらせた状態で聞いたろうと思って急いだ結果、公演ごとに段々着替え終わるの早くなってるからねww」「ありがとうまっすー」「まっすーのおかげだわ」
 
リ`▽´ノリ「まあね、どういたしまして(ドヤッ)」
 
(´・ш・)「小山さんそんなに増田さんのソロ見たいなら俺順番変わろうか?」「俺ミルクティー歌う」
 
\キャー!/
 
(∵)「そっち!?」「自分のソロ歌えよ!」
 
(´-」-`)「待ってじゃあ俺FIRE GROUND歌うの!?俺多分出ないよあのキー」
 
(´・ш・)「いや、俺二回ソロやるw」
 
(∵)「贅沢言うんじゃないよ」
 
(´-」-`)「俺のソロ取らないで〜〜💦」

 

こやママ育児おつかれ…。

 
 
 
 
 
13.milk tea / 福山雅治(Vo.小山慶一郎

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milk tea

milk tea

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存在がミルクティーなアイドル・小山慶一郎による甘々カバー。多分ハニーシュガー10個くらい入ってる。こやまさんに女性目線の曲を歌われるとめっためたに刺さるということはわかっていたが予想通り刺されてしまった。サビ前の「あなた優しく…するのかな…」でちょっと声が掠れるのが本当によろしくないと思うんですよ、青少年の教育に。
 
なんかもう全ての歌詞がぴったりなので取り立てて言うこともないんだよな本当に…。こういう甘い曲歌わせたら福山雅治小山慶一郎か、みたいなところあるじゃないですか?「もうこの胸の奥で叫んでるよ」の切実さとかね…今の小山さんだからこそ歌える最高の選曲。
 
あと、初日に入って世界一チェックが似合う男・小山さんの衣装が久々のチェックのカーディガンだったときには思わず天を仰ぎましたね…。恋しちゃうからやめろ〜〜???それから昨年は髪色をころころ変えて楽しんでたのに、今回のツアー中は最後までミルクティーだったの、ソロに合わせてたんだとしたらなんだか可愛いので誰かKラジにおたより送って聞いてください!
 
 
 
 
 
4.Sugar / 嵐
Sugar

Sugar

  • J-Pop
  • ¥255
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楽曲タイトル発表時にTwitterがお祭り騒ぎになった一曲。楽曲発表時、6位のアルバム名(Tone)を差し置いて3位に「Sugar」がトレンド入りしたのも記憶に新しい。多分この一曲がこのアルバムのジャニオタ方面への売り上げに大いに貢献したと思う。嵐ファンの友人も何人かアルバム買ってくれた…ありがたや…ありがたや…。
 
めっちゃ好きだったのが一つ前のmilk teaからの繋ぎの演出。歌い終わりで画面にマグカップに入ったミルクティーが出てきて、そこに砂糖を入れてかき混ぜる。そうするとマグカップの中がマーブルになるんですけど、それに合わせて会場のペンライトも渦巻き模様になるという…。天才すぎる。NEWSくん結婚してくれ。

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Interでしばらく照明含めた演出が続き、最後はペンライトの光がドゥンドゥンドゥンとセンステに集まるような演出で曲が始まるわけですが、衣装替えでちょっと遅れた小山さんがメインステージから歩いてくる様がマジでただのファッションショー(参照:『Going that way』)。みんなの視線を独り占めしてずるいぞ!!でも目の保養になるので許します。
 
歌割りの話をすると、正直このアルバムでこの曲の加藤さんの歌声が一番好きです。なぜって超絶怒涛のファルセット担当だから〜〜!!イントロの「You’ve got me feeling now, baby」はじめ、踊りながら歌うの大変だろうなってくらいずっと高音域を任されてるんですが、それが本当にセクシーでこの曲をオトナにしてる。一番良さが爆発してるのはCメロの「『いつかは2人も 星屑になるの』」です。鍵かっこつけられるような情緒的な歌詞×ファルセットの加藤シゲアキさんという禁断の組み合わせ。頭溶けちゃうね。
 
あともう一個だけ!小山慶一郎さんに「So gimme one more kiss」を割り振ったプロデューサーさんと、ライブでズームキメてそこの小山さんを抜いたカメラマンさんに金一封ずつ送りたい。どうかたんまりとボーナスいただいてますように!!人差し指で毎回完璧な投げキッスを決めながらの小山さんの「So gimme one more kiss」とファンの断末魔がもう聞こえないと思うと寂しい……JEさん早く円盤出して…編集手伝うから…。
 
本家の嵐さんのパフォーマンスとは違い、360°カメラは流石に導入してなかったので、ジュニアも含めたダンスパフォーマンスがメインでしたが、コンサートでひさびさに踊るNEWSくんを堪能できて本当に楽しかった。
 
 
 
 
 
チョコレイト・ディスコ

チョコレイト・ディスコ

  • Perfume
  • エレクトロニック
  • ¥255
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話題性を狙いすぎたか、はたまたスタッフの悪ノリで入れられたのでは?と心配されていたチョコレイト・ディスコ大真面目だった…。

そうだよなこの人たち『恋する惑星』とか普通にやるもんな。
 
チョコレイト・ディスコと言えば冒頭の女の子と男の子の掛け合いがどうなるんだろう!と思ってたんだけど、祐子&貴子とコヤシゲではなく、コヤテゴ・シゲマスの分かれ方でした。
 
(´-」-`) 計算する女の子♪
リ`▽´ノリ  期待してる男の子♪
(´・ш・) ときめいてる女の子〜♡
(∵) 気にしないふり男の子。
 
これ、ライブで一人ずつ歌った後にポーズ取って止まるのがめちゃくちゃかわいい。
 
なんなん?女子アイドルか??
(ただしライブがフルコーラスじゃなかったのはNEWSが羞恥心に耐えきれなかったからなんじゃないかと思ってる)
 
公演を重ねるごとにアドリブに磨きがかかってきて、ドーム公演とかもう絡みつきそうな勢いで加藤さんに迫ってた手越くんと、それを必死に"気にしないふり"する加藤さんが毎回面白くて大好きでした。加藤さん最後の方の公演手越プロが凄まじすぎて堪えきれずに笑っちゃってたけどね!!!なんという世界平和。
 
 
ちなみにこのmilk tea〜Strawberryまでのスイーツ食べ放題みたいなセトリに合わせてずっと映像のトーンが統一されてたのが最高にかわいかった!小中学生がよく持ってる文房具みたいなデザインが似合う30代アイドルNEWS、恐るべし…。
 
城ホの小山さんの誕生日公演では『Strawberry』までやったあとに自然に『Happy Birthday』が流れて苺とチョコレートがのったショートケーキが出てくるという完璧な演出で、「え、そのためにこのセトリ組んだ?」とすら思ったよね。
 
(´-」-`)「俺今年37だよ?37でチョコレイト・ディスコやると思わなかった」
とか言ってた小山さん! 大丈夫大丈夫!見えないよ〜!!
 
 
 
 
 
11.FIRE GROUND / Official髭男dism(Vo.手越祐也
FIRE GROUND

FIRE GROUND

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正直曲目が発表された時に力一杯ガッツポーズしてしまった。
ヒゲダンファンの私、ずっとこの曲を手越くんにカバーしてほしいと思っていたので…どうしよう願い叶っちゃったな……。
 
ライブではここからバンドセクションに入るので、Interのギターから曲に繋がる演出。
オーラスはスペシャルゲストでマーティが来て、正直感動しつつ笑っちゃいました。
何回マーティ呼ぶねんNEWS…。(主に手越くん)
 
イントロがはじまり、姿が見えないうちに「みんな後半もまだまだ盛り上がっていくぞ〜!」と煽って、特効の炎と一緒にジャンプアップで登場してくる手越くん。終始KAT-TUNのコンサート並みにファイヤーしているメインステージを端から端まで歩きながらお客さんを盛り上げて歌う。物理的にも精神的にも毎回ここで会場の温度が3℃くらい上がってたと思う。なんというか、踊ってる手越くんもバラード歌ってる手越くんももちろん好きなんだけど、そうやって歌一本で会場のボルテージをあげていくエンターテイナーでロックンローラーでアイドルの手越くんに、「この手越祐也が見たかった」みたいな気持ちになった。
 
特に「天才?秀才?20年にたった一人の逸材?」を本家同様メロディーに合わせず煽るように歌って、「そんな安い言葉売っ払って替えの効かない目で見つめろ」で目をひん剥く手越くんに、ヒゲダンへのリスペクトと手越祐也のスピリットを感じてめちゃくちゃ痺れてしまった。
 
そもそも「結果1発で180度真っ白な歓声に変わるぞ」とか「難題だらけのジャストザウェイユーアー」とか、全部努力と野心でいろんな結果を掴み取ってきた手越くんにぴったりすぎるのですよね。
あと、すっかり忘れてたけど、この曲を原キーで歌ってるあたり、手越くんはやっぱりバケモンでした…。
 
 
 
 
 
6.STAY’IN ALIVE / JUJU
STAYIN' ALIVE

STAYIN' ALIVE

  • JUJU
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

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FNSでの共演が記憶に新しいJUJU姉さんから新しめの曲のご提供〜!
最初にシゲ部で解禁された瞬間に「あっこれ好きなやつですわ」って気づいちゃってから今でもずっと好きです。アルバム曲の中でもシゲ部で解禁される曲が大好きな人種なので…(cf.『TWINKLE STAR』『CASINO DRIVE』『何度でも』)。具体的に言うと最初のブラスの二音で好きを確信しました。いやいくらなんでもちょろすぎる。

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いや〜改めて歌詞カード見ると思うことですけど、
 
「綺麗に咲く花なら華麗に散っていけ」なんて、
 
NEWSじゃん……。(cf.トップガン
 

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air:manさん振り付けのサビの振り付けもさることながら、それ以外の部分でもリズムに乗っているタカヒサマスダさんのフリーダンスがおしゃれ。あと、「かかってきなさい未来」でちょいちょいと指で誘う手越くん、ヒロイン力が強すぎて絶対にプリキュアだと思う…………。
 
 
 
 
 
7.カンナ8号線 / 松任谷由美
カンナ8号線

カンナ8号線

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わかってたけど、NEWSって懐メロの類がはちゃめちゃに似合うんだよな〜〜!!
歌番組でのコラボの選曲が『あずさ二号』とか割と渋めになってしまう気持ちもわかる。
 
あと、この曲があることでアルバム全体として幅広い年齢層にアプローチできてるのが素晴らしいですね!「NEWS、ユーミンやるってよ」って親に言ったら「へぇ〜なにやるの?」って興味持ってもらえたのが嬉しかったので勝手にカーナビのプレーヤーにアルバム音源入れときました。
 
 
さて、そんでもってその歌謡曲っぽい曲が特に似合ってしまうのが加藤シゲアキさんなわけです。
なんで?昭和のハンサムだから?多分声質なんだと思うんですけど。
この曲に関して言えば、歌詞に漂う寂寥感、哀愁みたいなものもすごく加藤さんと相性がいいのかなと思う。なんでこう後ろ髪ひかれるような歌詞が似合うのかなあ未練タラアキさんは!!!プロデューサーも私と同じ意見だったのか、サビ一個まるまる加藤さん、という予期せぬシゲ担ボーナストラック。

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初めて聞いたのに初めて聞いた感じがしない懐かしさがある、というこの曲のすごさだと思うんですが、同様に、古のジャニーズみたいなロング丈の衣装を着てターン多めのまったりしたステップのダンスを踊るNEWSも初めて見た感じがしないのがすごいなと思いました。
 
は〜〜、『CASINO DRIVE』のドライブしてる道も『チャンカパーナ』の深夜バスが走ってるのもカンナ8号線ですわこりゃ。
 
 
 
 
 
僕が僕であるために

僕が僕であるために

  • 尾崎 豊
  • J-Pop
  • ¥255
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増田さん同様、なにがくるんだろう?と様々な憶測が飛び交った加藤さんソロ。
私も過去のシゲ部でのオンエア曲とかを遡って、フラカンか??ワンチャン女性ボーカルか?とか予想してたんですけど、そうか、尾崎か……。と一発殴られたような気持ちになりました。
 
そもそもStrawberryの特典映像で記念碑に行くほど、尾崎は加藤さんの身近にあった「スター」であり、彼を選ぶということには相当の覚悟があったはずです。クラウドのライナーノーツでも「曲をお借りするにあたり、参る、詣でるような気持ちでまた渋谷の記念碑も見に行ってきました」と語っていた加藤さん。きっとスティードが連載されていたらそのときの話ももっと詳しく聞けたのかなと思うと少し寂しい。ツアーも終わったことだし、そろそろシゲ部で話してくれるかな。
 
コンサートでのパフォーマンスはご本人へのリスペクトか、センステでギター一本での弾き語り。シンプルなハイネックが最高にリアコ〜!って呟くにはパフォーマンスが重すぎた。だって僕が僕であるために勝ち続けなきゃいけない」ってアイドルが歌うんですよ。人として「勝ち続けなきゃいけない」のとはまた違う意味を持つような気がしてとてもしんどい。
公演を重ねるごとに加藤さんの気持ちも強くなっていったのか、どんどんエネルギーの消耗が激しくなっていって。ドーム公演の頃には倒れ込みそうなほど必死に歌う加藤さんを祈るように見ることしかできなかった。心配だったけど、でも彼の表現したいものを正しく受け取らなきゃいけない、みたいな使命感と願望に突き動かされて見届けた。『世界』のようで、より自分の外にも向いたパフォーマンス。2年でアップデートされた加藤シゲアキをひしひしと感じるツアーだったと思う。
 
 
最後に繋ぎの話だけはしておきたいのでします。この曲から「生きろ」への繋ぎ。歌い終わったギターの音色の余韻がまだ残るうちに、メインステージの上と下に三角形のように立っている3人にぼんやりとスポットライトが当たる。すぐに「生きろ」のイントロが流れてきて、ギターを置いてセンステに向かう加藤さんと、階段を降りて合流する増田さん、そしていつもの「生きろ」のポジションにつく4人。そんな演出を見てたら、加藤さんはなんでも一人で抱え込みそうで不安に思うことも多いけど、でもNEWSは4人なんだな、加藤さんには他の3人がいるんだな…みたいなことを勝手に思って毎回泣けてしまった。
 
 
 
 
 
 
心絵

心絵

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フロートで外周を回って、会場四隅に止まったところではじまる『心絵』。

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「描いた夢とここにある今」を声量たっぷりに歌い上げる増田さんの入りからもう優勝。いろんなアーティストがカバーしてきたドメジャー曲、それもとてもパワーが必要な曲なのに、すっかり自分の曲にしてしまうNEWSは本当にアイドルの枠に囚われないアーティストだなあと思う。
 
個人的には、カバーによっては削られてしまうこともあるサビの「Wow~」と大サビ前の「ここ〜ろよ〜!」を残して、しっかりファンに歌わせるあたりに合唱大好きなNEWSらしさが出ていて好きです。(笑)一回フロートの手越くんの真ん前の席だったんですけど、大サビ前で「響け〜こ〜のここ〜カモン!」と両手を広げて私たちの声を受け止める手越くんが本当に幸せそうでニコニコしてしまった。これ何回目って感じなんですけど、ライブでデレデレしてる手越くんが最高に好きなので…。

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9.さぁ鐘を鳴らせ / DREAMS COME TRUE
さぁ鐘を鳴らせ

さぁ鐘を鳴らせ

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NEWSって、グループでのアップダウンを経験しているからネガティブな感情に説得力がある、というのと同時に、アイドルでありながら「喪失」みたいな概念をタブーにせずに感じさせるところが人間臭さに繋がっていると思うのです。それは『「生きろ」』という歌がある点においてもそうだし、脱退もそうだし、メンバーの多くが身近な人の死を経験しているからでもあって。私たちが知っているものだけでも、親しい友人、祖父、父親、愛猫。
 
そんなNEWSが歌う『さぁ鐘を鳴らせ』は、グループとしての誓いのようでも、誰かを想って届ける歌のようでもあって、歌の持つパワーが桁違いでした。

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「生きると誓え」「生きると打ち鳴らせ」。

この歌詞をこれほどの切実さをもって歌えるのはNEWSしかいないと思います。
 
あと、やっぱりNEWSの世界観が好きなファンなので、この「音」と銘打ったアルバムで、最後(の方)に「さぁ鐘を鳴らせ ガンガン打ち鳴らせ」と歌うコンセプチュアルさが好きです。
 
 
 
 
 
10.ラストソング / Official髭男dism
ラストソング

ラストソング

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私はいわゆるNEWSの”ラストソング”である『U R not alone』や『HAPPY ENDING』、『Love Story』がとても好きです。言葉で伝えてもらうのも嬉しいけど、それ以上に「うた」を通すことでNEWSからの想いを受け取れて、またこちらからも何かを返せる、双方向のコミュニケーションができている気がするから。だからこそ「最後の曲」というのは特別で、カバーだったら最後どうするのかな〜、探してくるの難しいだろうな、「生きろ」とかで終わらせるのかな〜とぼんやり思ってました。曲目に並ぶこの曲のタイトルを見るまでは

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これほどNEWSのライブの締めにふさわしいカバーがあろうか…(反語)。
 
「まだ遊びたりないよ もっと歌いたいのにな」という名残惜しさ、ぴったりすぎる歌割り、Love Storyからの繋ぎ、最後の最後がファンの合唱なところ、ツアーを終えた今振り返ってもこれほどぴったりな曲選はないだろうと思えます。ありがとうOfficial髭男dism。
 
歌割りに関しては、個人的にしんどいポイントが三点あって。
一つは一番の手越くん。ついさっきまでLove Storyで「また明日ね」って満面の笑顔で手を振っていた人が歌う「『またね』があれば どんなお別れもマシになるね」、あまりにも説得力がある。でもその後すぐにいつか来る終わりを考えてしまって、考えちゃだめだよな、と自分で打ち消す切なさ。NEWSも私たちも、「来年」が必ず来るわけではないことを知っているから、いつか終わりが来ることを知っているから、考えずにはいられない。100%楽しい気持ちで終わりたいのに、自分でそれを邪魔してしまうというところに切なさを感じます。でもNEWSはそんなネガティブさがあるからこそ強く、また心惹かれるグループでもあるのですよね…。
 
二つ目が二番の加藤さん。「そんなド正論 臆病な僕には しんどすぎて聞けたもんじゃないな」ですよ。ねぇ!!!私もしんどすぎて聞けたもんじゃないんですけど!!!「限りがあるからこそ美しい」というのは、NEWSのコンサートを見ていると強く感じることです。ずるずる続けるアンコールをせずに、起承転結を決めて、”限り”を設けているからこそ美しい「作品」になっている。小説もそうですよね。そんな「美しさ」をよく理解した人たちが、いつか来るNEWSというSTORYの終わりを考えるのがしんどいあまりに、「美しさ」を否定する。なんということでしょう…(CV.ビフォーアフターの人)。そういうネガティブさ、一筋縄では行かない感情のせめぎ合い、それを加藤さんに表現させてくれたのが優勝です。これはNEWSだけではなく私たちにも言えることなのが切ない。私は臆病なので、やっぱりまだ終わりは考えたくないな。
 
三つ目。Cメロ。『「生きろ」』のCメロよろしく、手越くんが先陣を切って、そのメロディーの上に増田さんが乗ってくる、この流れがめちゃくちゃ気持ちいい。「僕は笑い声を立てる 『またね』を届ける」、そんな約束を、それこそ『「生きろ」』を歌うときのように、毎回全身全霊で届けてくれる二人。そして四人で歌う「地球最後の日だとしても」。ああ、明日が地球最後の日だとしても、この人たちは今日ここに立ってコンサートをやり遂げるんだろうな、そんなアイドルとしての矜持を見せつけられたような気がして、鳥肌が立ってしまうワンフレーズ。
 
そんなわけで、私は今回のラスト二曲の「Love Story~ラストソング組曲」がはちゃめちゃに好きでした。Love Storyの最後、溜めに溜めた増田さんの「恋をする〜…」から『ラストソング』のイントロが流れ出すと、ああもうこの楽しい時間が終わってしまうんだな、と寂しさがこみ上げてくる一方で、「ラララララ〜ララララ〜ララ〜〜」を「もっと歌って!」と音源の3倍くらいの長さ歌わせてくるNEWSも、「もっと歌いたいのにな」と歌いながら、最終公演ではみんなちょっと瞳が潤んでいたNEWSも愛おしくってたまらなかった。
 
(余談。これNEWSあるあるだと思うんですけど、何回も聞いてると手越くんの上ハモの方も覚えちゃってそっちが歌いたくなってくる現象、ないですか??私は恋祭りとかもそうなんですけど、最後の「ラララ」、「ドレミソシ〜ラシドソ〜ファソ〜♪」じゃなくてついつい手越くんパートの「ミファソシレ〜ドレミド〜シド〜♪」で歌ってしまう…)
 
そういえば、「手持ち花火の火薬の香り」で手持ち花火持ってる風な右手のアップからめちゃくちゃ憂いを帯びた加藤さんの顔にチルトしたカメラマンの方、ありがとう!!!!!ナゴドだったかな……私はあなたの神シューティングを絶対に忘れません。
 
 
毎公演、私たちの「ラララララ〜ララララ〜ララ〜〜」が響く中、無情にもメインステージに降りてくる赤い緞帳。「幕が下りれば僕らお互いに離れ離れ」。そんなことわかってるけど、でも完全に離れ離れなことはないと言うように、音楽が終わってもみんなアカペラで歌い続けた東京ドームの合唱を聞きながら、私はやっぱり健気なNEWS担が好きだなぁ、と思いました。
 
 
 
 
 
 
 
以上、セトリ順に感想をつらつらと語ってみました。
 
ライナーノーツ兼ライブの感想ってめっちゃキツイということがわかったのでもうやりません!!肩凝った!!
 
 
改めて、全公演おつかれさまでした!最高のツアーをありがとう!
 
 
 
 
 
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妄想にあたり、何曲か思いつかなくって、ご回答いただいたマシュマロなど参考にさせていただきました。(Sugar人気がすごかった…!)
ヒゲダンが二曲ランクインしてるのと全体的にブラス調の曲が多いのは私の趣味です!ごめんなさい!
 
 
NEWS、懐メロの類とバラードは絶対似合うからつまんないかな…と思って明るい曲を探した結果、全体的にこうなりました。たぶんジャニーズ限定でも90年代ヒット曲限定でも1枚作れると思う。
 
 
 
というわけでお題をつくりましたので、みなさんもぜひ!!感想もまってます!
 
 
 
 
 
 
 
 

*1:STORYの歌詞